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TV放映された「造作買取請求権」についての疑問

■□相談内容 

不動産ML参加者の皆さん、いつもご回答いただきまして有難うございます。
草柳@RTJサポートチームです。実は2002/8/7にフジテレビで放映された
「ザ・ジャッジ!」で、以下のような話がありました。

   ・クーラー無しの古いアパートの住人が自腹でクーラーを設置
    (窓用のものではなく、壁に穴を開けて設置。かかった費用は9万円)
   ・設置にあたって大家は「自分で取り付けるなら良い」と許可
    (書面を交わしているのではなく口約束です)
   ・取り付け直後に住人が転勤。大家に買取を請求
   ・しかし大家は買取を拒否

と、このような流れで「大家は買い取る必要があるのか?」
と言うことになったのですが、その結論が、

  ●住人には造作買取請求権があるので大家は買い取らなくてはならない

でして、映像では大家がまるまる9万円を支払ってました。さらに、対象となるものには、
   ・新しく取り替えた畳
   ・買い換えた換気扇
   ・設置したBSアンテナ
などを挙げていましたが、私としてはどうも誇張しすぎのような気がしてなりません。

今回の放送をそのまま真に受けますと、
   ・家賃\38,000のアパートに対して今の相場の倍近いクーラー
    (今ですと工事費込みで\50,000以下で手に入ります)
を取り付けて最終的に全額大家に負担させると言うことになります。

でも上記の場合、
   ・大家が自腹ならつけて良いと言ったら最後、
    好きなクーラーを取り付けられて最終的に全額が負担する責任がある
と言うことになってしまいますが、何か違うような気がしてなりません。

確かにこの番組では最後に、状況によって判例が異なる旨を伝えているのですが、
状況が異なる異ならない以前にこれですと多くの方に
誤解を与えるような気がしました。

本当に「造作買取請求権」に、ここまでの権利があるのでしょうか?


□■アドバイス:1

私もテレビを見ていました。
草柳さんのおっしゃる通り判然としない場面でしたが、
「借地借家法第33条」造作買取請求権があります。

但し、その価格は
建物に付加したままの状態で造作自体が有する価格「時価」
という事です。工事費用などは含まれません。

なお、旧法によると強行規定であったが新法では任意規定となっている様です。
(森田住販・森田喜久雄さん)


□■草柳@RTJサポートチーム

森田さん、早々にどうも有難うございます。
ご覧になっていらしたとは!
日曜日に日本テレビでやっている「行列のできる法律相談所」のように、
様々な見解があることが前提になっているのであれば良いと思うのですが、
こっちの番組に関しては、
  > 判然としない場面
と言うようなことが結構あるように感じました。
(あの内容を真に受けて変なトラブルが起こって困る人が増えそうで、
 それが一番心配だったりします…)

それはさておき、
  > 但し、その価格は建物に付加したままの状態で造作自体が有する価格
  > 「時価」という事です。工事費用などは含まれません。
やはりそうですよね…。そう考えますと、
   ●大家は買い取らなければならない
   ●但し中古エアコンの買取相場価格を前提に価格交渉可
と言うように解釈できそうですね。

ただ、個人的には、
  > 「借地借家法第33条」造作買取請求権
この法律自体、あまりに一方的過ぎるような気もします。
仮に買取価格交渉できたとしても、住人がそれを良いことに
最上級のエアコンを取り付けた場合など、かなりダメージがあるように思います。
さらに、BSアンテナなどは、CATVの普及やBSデジタル化による廃止などで、
近い将来、資産価値自体が無くなってしまう危険性もありますので…。

  #さらにエアコンと違って、BSアンテナに関しては、必ずしも
   次の住人が必要と言うわけでも無いように思いますし、
   逆に、壁に穴などを開けられてしまったマイナス要因の方も気になります。
   (あくまでもこう言うことを知らずに、住人の意見を尊重してあげると、
    かえって後々、負担が増えてしまう?)
  #もっと言ってしまえば、造作物の基準の「容易に取り外し可能」に、
   何故エアコンやBSアンテナなど、
    ●場合によっては専門家の工事が必要なもの
   までが含まれるのかも疑問だったりするのでした…。
   容易に取り外せないと理由で造作物として認められていない障子紙の方が、
   エアコンよりも容易な気すらします。

本来であればエアコンなどに関しては、
   ●事前に最終的な費用分担を決める
    (=造作物設置の同意にあたっての条件をつける)
   ●上記内容を契約書にまとめる
と言う感じで進めるのが理想かな?とも思ったりもしました。
(こうすれば後々のトラブルを防ぐことができそうなのですが、唯一気になるのが、
   
   ●もし「造作買取請求権」が絶対的なもので、大家側が条件を追加できない
     (=あくまでも造作物設置に同意するか否かのみである)
   のであれば、この契約自体できなくなってしまう?と言う部分です)

ただ、それ以前に、
  > 旧法によると強行規定であったが新法では任意規定となっている様です。
と言うことですと、「大家の買取は絶対」ではなくなりますね(※)。
  (※私自身大変不勉強で恐縮ですが、
    実はいつからが新法なのかがわからなかったりしまして、
    もし、新法が未定で現在は旧法が前提になっているのであれば、
    時価が前提であっても「大家の買取は絶対」になりますね)


□■アドバイス:2

涌井です。造作買取請求権について調べてみました。
条文とあわせて投稿しておきます。
「賃貸人の同意」と言うところが重要だと思います。
実際には、民事裁判(調停)で和解されるのは、森田さんの仰る通りだと思います。
 (森田さんは多分専門家の方ですよね?)
冷静に考えれば、エアコン等の設備を買い取るのは、
ある意味当然かも知れません。
但し、現実には設置からかなり年数が経過している場合が多いと思います。
世間一般の常識の範囲で交渉すれば良いと思います。

 【参考】
   宅建スーパーWEBサイト( http://tokagekyo.7777.net/ )内の、
    http://tokagekyo.7777.net/brush_echo/lease/lease-ans3.html
   にあります以下の部分。
    ★賃借人が、賃貸人の同意を得て建物に造作を付加したときは、
     賃貸借終了時に、賃貸人に時価で買い取るよう請求できます。
     (借地借家法33条1項)
     これは、賃貸人から買いうけた造作にも適用されます。
     また、「期間の満了又は解約の申し入れ」によって終了する場合の、
     転借人と賃貸人との間でも準用されます。(借地借家法33条2項)
     ただし、この規定は任意規定となっており、造作買取請求権をあらかじめ
     放棄する旨の特約も認められています。(借地借家法37条)

  (造作買取請求権)第33条
   建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、
   建具その他の造作がある場合には、建物の賃借人は、建物の賃貸借が
   期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、建物の賃貸人に対し、
   その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる。
   建物の賃貸人から買い受けた造作についても、同様とする。
   2前項の規定は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって
   終了する場合における建物の転借人と賃貸人との間について準用する。

  (強行規定)
   第37条 第31条、第34条及び第35条の規定に反する特約で
   建物の賃借人又は転借人に不利なものは、無効とする。
(高原開発・涌井さん)


□■草柳@RTJサポートチーム

涌井さん、ご丁寧に有難うございます。
いやはや、色々と調べていただいてしまって恐縮です。

  > 冷静に考えれば、エアコン等の設備を買い取るのは、
  > ある意味当然かも知れません。
確かにおっしゃる通りなのですが、
   ・大家は住人が自腹で買ってつけると言うので安易に取付を許可した
    と言う感じのTVの内容でしたのが、
   ・造作買取請求権を行使されると自腹ではなくなる
    (そもそも「相手の自腹」と言う選択肢自体が無い?)
と言う感じで、何だか理不尽に思えてしまったのでした。
そう考えますと、大家としては、こう言う法律があることに気をつけて、
   ●自腹取付に安易に了解しない注意
が必要になってくるように思いました。

ただ、引用いただきました条文から判断しますと、TVで放映された内容の、
   ●取付時の全額(工事費を含む住人が支払った費用全額)の返済
と言うのは違いますね…。やはり、私も、
  > 実際には、民事裁判(調停)で和解されるのは、
であり、
  > 世間一般の常識の範囲で交渉すれば良いと思います。
だと思いました。


□■アドバイス:3

うーーん。私はテレビを見ていないのでニュアンスが良く分かりません。

しかし、通常の私達が行っている賃貸業務の流れでは、
家主がエアコン設置の了解したのは、壁に穴をあける事、
クロスにエアコン設置跡が残る事等を了解したという事だと思われます。

エアコンを建物の設備として加える事に対して了解したのではないと思います。
設置跡に対する原状回復義務の免除に対して了解したという事でしょう。

エアコンは退去時に借主にて撤去してもらうか、
撤去費用を敷金より相殺するか、撤去費用をサービスする代りに、
家主に所有権を無償譲渡するという事に通常業務では行っております。
いかがでしょうか?
(アート不動産・吉田さん)


□■草柳@RTJサポートチーム

よしださん、どうも有難うございます。
なるほど確かに、
  > 設置跡に対する原状回復義務の免除に対して了解したという事でしょう。
と考えるのが一般的ですね。

ただ、
  > エアコンは退去時に借主にて撤去してもらうか、
  > 撤去費用を敷金より相殺するか、撤去費用をサービスする代りに、
  > 家主に所有権を無償譲渡するという事に通常業務では行っております。
私もこう思っていたのですが、造作買取請求権があるので、
   ・エアコンは家主が買い取らなければならない
   (もう使わないから買う取って欲しいと言われたら家主は断れない)
ことになり、
   ・撤去費用支払い(=敷金相殺、無償譲渡)
などをする必要は無いので、結果、
   ・借主は家主に買い取らせるのが一番得かも知れない?
と言うような感じになるように思います。


□■アドバイス:4

なるほど、ありがとうございます。
契約書の中に、造作買取請求権を認めない旨の特約は有効なのでしょうか?
原状回復義務という意味合いの中に、退去時にエアコン撤去が
借主にて必要という解釈は出来ないのでしょうか?
(アート不動産・吉田さん)


□■草柳@RTJサポートチーム

よしださん、どうも有難うございます。
まさに私が気になっていましたのも、
  > 契約書の中に、造作買取請求権を認めない旨の特約は有効なのでしょうか?
でしたが、涌井さんが調べてくださった条文には、
  > この規定は任意規定となっており、造作買取請求権をあらかじめ放棄する旨の
  > 特約も認められています。(借地借家法37条)
とありましたので、大丈夫のような気がします。

ただ、契約書にこの特約が無かった場合に大家さんが、
  「エアコン、自腹なら取り付けても良いよ」
と言ってしまった場合は、たとえ「自腹なら」と言おうが、
後々、自分が買い取る羽目になるような気もします?

また、
  > 原状回復義務という意味合いの中に、退去時にエアコン撤去が
  > 借主にて必要という解釈は出来ないのでしょうか?
なのですが、どうも原状回復義務とは異なるようですね?
  (造作があることで回復される現状よりも価値が上がると言う解釈ですかね?
でも実際には、
    ・エアコン(ほかの造作)などがあっても困る
     (例えば、
      ・買い取るエアコンが古すぎて、今後の修理費の方がかかりそう
      ・改築予定なので取り外して再度取り付けるとなるとかえって高いなどの場合)
と言うようなことも充分考えられると思いますが…)

あと、万一、泥沼化して意地の張り合いになってしまった場合、大家さん側は、
   ・買取金額時価
  の部分を、
   ・取り外し工事を含めたリサイクルショップなどのエアコン買取価格
を基準にすることもできる気がしましたし、もし、
リサイクルショップが買取不能な場合(=時価ゼロの場合)は逆に、
   ・家電リサイクル料金+取り外し工事費+運搬送料
などを請求するのも合理的なのかなぁ…などとも考えてしまいました。
  (果たしてこれで対抗できるのかどうかはわからないのですが…)

やや話が逸れてしまいますが、実は私は大家さんでも仲介業者さんでも
借主さんでも無いのですが、この問題に疑問を抱きましたのは、
   ●自腹を前提に借りた人が取り付けたのに、
    最後の最後に一方的に法律を武器に買い取らせる
と言うのは、(法律とは別問題で)誠意ある対応とは思えなかったんです。
で、TVでは「損している人沢山いる」みたいな感じでやってましたけど、
私としては「そうじゃないだろ?」みたいな感じですね。
だったら、
   ●そう言うことをされた場合に対抗方法は無いのか?
と言う感じで皆さんにご相談したのでした。


□■アドバイス:5

涌井です。横レス失礼します。
不動産業者としての日常業務の処理としては、一般的には
よしださんの言われている通りだと思います。
当社のお客様で、実際に買取請求をしてきた方はいません。
 (店舗等の居抜きの場合を除きます)
問題は、草柳さんの言われている様に、こじれた場合
業者としてどうアドバイスしたら良いのかだと思います。

エアコン等の設備については、確かに
その物件の付加価値を高める効果が有ると思います。
減価償却等を考慮に入れた価格で有れば、大家が買取りをするのも、
無茶な事では無いと思います。
新品を付けても、直ぐに中古になってしまうのですから、常識的な価格であれば、
買取は当然かも知れないと思います。

私も、そのテレビ放映は見ていないのですが、草柳さんの投稿を拝見すると、
かなり一方的に買い取り請求が可能な様に感じました。
実際の民事裁判(実際には殆ど調停になると思います)では、私の経験上、
一方的と言う事は有りえないはずです。
民事の場合は、殆ど常識的な線で和解になると思います。
大家が強行に和解をせず、買取を拒否しても仕方が無いと思います。

草柳さんの投稿を機会に、
「造作買取請求権」の放棄を契約書に明記しておく必要が有る。
と言う事だと思います。

又、よしださんの言われている原状回復義務は、不動産業者が日常的に使用する
業界用語としての意味は理解出来ますが、我々業者の言う、
原状回復義務は民法や借家法の「原状回復」とは若干違うと思います。
業者の原状回復は、かなり拡大解釈されていると思います。
特に「承諾を得た」設備等について、原状回復を求めるのは難しいと思います。

私も一不動産業者ですが、今回の造作買取請求権の件は勉強になりました。
店舗等の場合でも、かなり厳密に特約条項を入れておかないと
面倒な自体になる事も予想されます。
居抜き料の取れる物件なら問題有りませんが、居抜き料の取れない物件は、
業者として慎重な対応が求められると感じました。
(高原開発・涌井さん)


□■草柳@RTJサポートチーム

こちらこそお盆休みの中、ご回答いただいてしまって恐縮です。

  > 不動産業者としての日常業務の処理としては、
  > 一般的には、よしださんの言われている通りだと思います。
私もそう思いますし、その方法(相殺など)が合理的に感じていました。
決してどちらか一方が損をしているのではなく「利にかなった交渉」ですので…。

でも、
  > 草柳さんの投稿を拝見すると、
  > かなり一方的に買い取り請求が可能な様に感じました。
私の感覚ではあのTVの通りに考えてしまう借主さんがいますと、おそらく、
  > こじれた場合、業者としてどうアドバイスしたら良いのかだと思います。
このような対応が必要になってくるように感じました。

  > 業者の原状回復は、かなり拡大解釈されていると思います。
  > 特に「承諾を得た」設備等について、原状回復を求めるのは難しいと思います。
話がやや逸れてしまうのですが、最近、やたらと
敷金問題がクローズアップされています。
もちろん中には不適切な業者もいるかと思いますが、反面、
契約段階の相互確認の希薄さが原因の場合も多いようにも思います。
  (どうしても今のマスコミ報道は往々にして「一時が万事」の場合が多く、
   一方を徹底的に叩くのが日常的になっておりますので…)

私自身、賃貸契約の経験が豊富なわけでは無いのですが、
賃貸の契約の場合(借主としてでした)、売買契約に比べますと、
意外に簡単な書類で済まされている場合も多いように感じましたし、
借りる前の状況の把握もなされていない場合もあるように感じました。

  #以前、私が自動車雑誌の編集をやっていた関係で、
   自動車メーカーからクルマを借りる機会が多かったのですが、
   (おそらくレンタカーなどでも一緒かと思われますが)
   その際には、傷の有無なども含めてお互いに確認した後に借りており、
   もしその時に不審な部分があった場合は、即、一筆加えてもらったりしました。

そう考えますと、確かに、
  > 「造作買取請求権」の放棄を契約書に明記しておく必要が有る。
  > と言う事だと思います。
このような形で、お互いにあとでトラブルが出ないような契約書も重要であり、
さらに造作取付の打診を受けた場合、現状確認も含めて、話し合った方が無難な
気もしました(その時は面倒でも後々の面倒が回避できるように思いました)。

今回のような件、そして、涌井さんがおっしゃった、
  > 私も一不動産業者ですが、今回の造作買取請求権の件は勉強になりました。
と言うようなことを考えますと、Fudosan.JPとしても、皆さんのお力をお借りしつつ、

   ・(業者さんのために)トラブルが起きにくい契約書のサンプル
   ・(一般の皆さんのために)契約にあたっての注意点

などを創って公開できると、喜ばれるかな?などとも思いました。
とは言え、まだアイデア段階でしか無いので、
今後、この相談センターを通じて、少しでも実現できるように頑張っていこうと思います。

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