« 原状回復の範囲について | メイン | 親族間での借地契約について »

大家からの購入打診について

相談内容 

兵庫・40代女性
いわゆる分譲貸しでマンションの1室を借りて2年半になります。
ある日、不動産屋から、
  「持ち主が家を売りたいと言っているが、買いませんか? 
   買わなければ、契約により、この告知後、半年以内に出て行っていただきます」
と、電話がかかってきました。
同じマンション棟内で売りに出ていた部屋の価格は、ほぼ1,800万円でしたが、
打診された価格は少し高く、1,900万円と言われました。
不動産屋は、「1,800万円くらいまでなら値下げ交渉してあげられる」
と言ってましたが、どうも最初から高目に設定という話になっていたような気がします。
昔は借り主に買ってもらいたい時は60%くらいの価格、
借り主が買いたいと言ってきた場合は高目だったという話しを聞いたことがあります。
今はこれにあてはまるような法的な力はないのでしょうか?
なおマンションは築9年、購入当時の価格は3,800万円だったそうです。




□■アドバイス:1

私見ですが、賃貸借契約が定期借家契約でなく、一般借家契約の場合、
購入価格は相場より低いのが一般的です。
なぜかと言いますと、
   1.一般賃貸借契約を締結してある物件を、そのまま売りに出しても、
    簡単に買主が現れるとは思われない
   2.一般借家契約の場合、立ち退きには立退き料の支払いが必要と考えられる。
つまり、最低でも立退き料相当額は安くなると思われます。
この立退き料は今の家賃と同等の所に引っ越す時に必要な経費と考えれば良いでしょう。

尚、マンションの場合は、間取りや広さは当然ですが、階数や向き(方角)や
エレベーターや階段から距離等も価格に反映されますので、
一概に価格が高いか安いかは言えません。
お近くに不動産業者の知り合いがいれば、1,900万円が高いのか安いのかを
査定して頂くと良いと思います。そして妥当な金額(相場)から、
立退き料相当額の値引きを交渉するのが良いと思います。

貴方に購入の意思があるのなら、粘り強く値引き交渉をすべきだと思います。
それと60%というのは、おそらく路線価の借地権割合のことだと思います。
(高原開発・涌井秀人さん)




□■アドバイス:2

横から申し訳ありません。
涌井様、今回、本件に付随して、私からもご質問させていただければ幸いです。

例えば、投資目的物件を扱われてらっしゃる業者様の場合、
空室よりも、優良な賃借人がいらっしゃる場合の方が、
逆に評価される(=空室よりも高くなる)可能性があるようにも思われますが、
いかがなものでしょうか?

ただ、今回の相談者さんの場合は、おそらくファミリー向け物件ではないかと
思われますので、本題から外れてしまっていたら、申し訳ありません。
(わんえるで~おー・前野)




□■アドバイス:3

前野様、確かにご指摘の通り、安定家賃収入は投資目的物件の場合、
その売却価格のプラス要素となる場合もございます。
  投資目的には、大きく分けて、
   1.利回りによる収入目的
   2.転売による利益目的
   3.節税対策目的
   4.自己利用目的
  が、あると思います。

この内、1の利回り目的の場合は、ご指摘の通りだと思います。
しかし、利回り目的の場合、その性格上、物件の売却はオーナーチェンジで
行われるのが一般的であり、賃借人に対して購入を働きかける必要はございません。
2の転売による利益も、今回のご相談ではかなり値下がりしている様ですから、
まず考えられません。
3の場合は、所得税や法人税を下げるために利益の出ている顧客に
購入を働きかけるので、当然、今回は対象外となります。
4は、ある意味、賃借人は最も利用価値があるので、その意味で言えば
賃借人には購入のメリットがあるかも知れませんので、その物件が気に入っている
のであれば、相場より高くても購入する可能性があります。
この点を狙っているとも、考えられなくはありませんね。

しかし、今回のご相談は所有者が財産の処分をするための売却のケースであると
判断するのが妥当だと思います。
所有者の財産処分の場合、その処分物件に賃借人が入居していると言うのは、
基本的にはプラス要因にはなりません。
もし、利回りを見込める物件であれば、更新不可の退去予告をすることも無く、
オーナーチェンジで済むはずですし、魅力的な投資物件であれば、
賃借人に購入を働きかける必要性も無いと思います。

今回、所有者が売却目的で退去勧告をするのであれば、立退き料を請求できますので、
賃借人が購入する場合は、相場価格マイナス立退き料は最低でも交渉可能と思います。
(高原開発・涌井秀人さん)




■□相談者より

涌井様、前野様、早々にお返事頂き、大変感謝しております。
涌井様のおっしゃる通り、所有者は新たな物件購入の為の資金が欲しくて、
高額で売却したいようです。
私は、病気がちの両親を同居扶養しており、両親を安心させたいために
購入できたら…と考えている次第です。

自身が気に入ってるのもありますが、私一人住まいであるなら
転居を考えたことでしょう。
但し、両親からの資金援助は全くありませんし、
何とか安く買えたら…と考えています。
専有面積は約70平米で3LDK、15階建ての8階部分です。
少し駅からは遠いですが、環境は良好で、ほぼ南向きで見晴らしもよく、
窓から少しだけ海が見えます。
中古とはいえオープンハウスが出るとすぐに売れているようなので、
人気は高いのでは…と思います。

当初、保証金60万円、解約50万円、管理費込みで月額10万円で借りてます。
仲買不動産業者は、1,800万円に下げて、保証金60万円は返してもらうように
交渉すると言っておりました。要するに160万円の減額です。
この160万円が立退き料分に相当するのかもしれません。
それ以上の減額は、所有者はもちろん、業者自身が全く積極的ではありません。

同マンションのオープンハウスは時々出ていましたが、大体、同じ条件で
1,800万円以下が全てでしたので、1900万円と聞いた時は、
「ちょっと高いんじゃないか?」と、びっくりしました。

個人的には1,800万円が相場だと考え、1,600万円くらいまでなんとか
交渉できないかな…と思っています。また、転居する事になっても、
立ち退き料請求をするのは、法律違反ではないのですか?




□■アドバイス:4

ここで値段交渉のノウハウを公開するのは、適切とは思われませんので、
遠慮させて頂きますが、一生に一度の買い物ですから、
あらゆる知恵を絞って、1,600万円を目標に交渉して下さい。
また、購入する場合、仲介業者の手数料や購入に必要な経費も
忘れない様にして下さい。値段交渉の前に、売買の流れについて
仲介業者に良く説明を聞くことをお薦め致します。

立退き料の請求は、当然の権利だと思って交渉しましょう。

   借地借家法
   (建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
    第28条 建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の
        申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条に
        おいて同じ)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借
        に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の
        賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建
        物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけ
        るその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなけ
        れば、することができない。

この条文の中の「賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換え
に建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申
出を考慮して」と言うのが、立退き料のことだと思って下さい。
(高原開発・涌井秀人さん)




■□相談者より

涌井様、適切なご回答有難うございます。
転居の場合だけでなく、価格交渉においても立退き料が引けることを
はじめて知り、強い味方を得たような気持ちです。
仲買業者はそのような事はまったく教えてくれませんでしたし…。

さらに、仲買業者は、
「転居する場合でも、自分の会社が探すという専属契約を結ばないか」
と言ってきました。
その契約が無料なのか契約料が必要なのかは何とも言われてませんが、
不動産業者って自分の売り上げのことしか考えていないのかと、
少し不信感を持ちつつあります。
今後の交渉次第で購入か転居になるかわかりませんが、
またこの場でてん末をご報告したいと考えております
(転居の場合、自分で公団でも探そうかな…と思っています)。




□■アドバイス:5

■涌井様

 ご丁寧なご説明、有難うございました。
 また、今回の件に対する涌井様の推察に敬服いたします。
 最近、ファンドも含め、不動産投資がブームになっているため、
 便乗質問させていただきました。
 確かに本件では(すでに相談者さんからご報告が入っているように)、
 買い換え目的でした。

  追伸:後述の価格交渉の際の「目標価格」なのですが、相場価格マイナス立退き料に、
     さらにマイナス「物件売り出し時に最低限必要なリフォーム費用」などの
     要素も加えてみました。


■相談者さん

立ち退き関係は、涌井様をはじめ、ご参加くださっているエージェントの皆様から、
たくさんのアドバイスがありますので、
   http://fudosan.jp/cgi-bin/soudan/wforum.cgi?mode=find&page=0&list=
から、「立ち退き」などで検索してみてください。

  それから、事前に知識を得るために、
  「地元の宅建協会などの主催する無料相談」
  (開催場所や日程は http://www.zentaku.or.jp/ から、調べられるはずです)
  「自治体などの無料法律相談」
  または、
   http://fudosan.jp/database/houritsu.html
 のリンクにあるような法律の専門家の無料相談に行かれるのも有意義なことかと
 思われます。

もめてしまった場合は、最後はご自身の根気と努力になりますので、
進め方などは、「わたる」さんの、
   http://fudosan.jp/cgi-bin/soudan/wforum.cgi?mode=allread&no=3600
  が、とても参考になると思います。

大変かも知れませんが、立ち退くのであれば、立場的には、相談者さんの方が
強いと思います。涌井様のおっしゃる通り、「当然の権利」です。
ですので、(あくまでも私見ですが)、価格交渉をされる場合は、
   1.立ち退きの覚悟を決めて、その場合に請求できる正当な金額を割り出す
   2.リフォームなどをして売りに出す際の家主側の費用を推測する
   3.相場の1,800万円から1と2を引き、それを上限にする
と言う感じでも良いと思います。
その金額では無理だと言うのであれば、正当な金額をいただいて、
立ち退く方向で考えるのも良いと思います。

是非、良い結果をご報告いただけることを祈ってます。
(わんえるで~おー・前野)




■□相談者より

前野様、ご親切な回答を頂き有難うございました。
かなりの方が立ち退きで悩まれているのを知り、少し力が湧いてきたような気がします。
また、皆様、きちんと順序だててわかりやすく説明されており、
相談する時はこのように整理しないといけないな…と、恥ずかしく感じております。
価格交渉については今回のご回答を参考に、まずは自分としてはいくらなら
購入できるという意見をきちんと持ち、交渉していきたいと思います。




□■アドバイス:6

交渉する場合に大切なのは、
   ●分かりやすさ
   ●理にかなっている説明(決して、感情的にならないことが大切です)
  だと思います。

  ですので、面倒かも知れませんが、
   ●今までの経緯
    (いくら家賃などを払ったのかも、書き出しておくと良いですね)
   ●相談者さんの要求(買う場合、立ち退く場合)
を、箇条書きで構いませんので、一度書き出されると、
ご自身でもビックリなさるくらい、説得力あるものが完成すると思います。
それを提示できることが、交渉を有利に導く可能性も高いです。
  (=相手が「この人はしっかりしているな!」と思えば、下手な対応をしたら、
    自分が大変だと思って、きちんと対応してくれると思います)

もし、内容が不安でしたら、その時は、投稿してみてください。
(わんえるで~おー・前野)




■□相談者より

前野様、有難うございます。これから箇条書きしてみます。

自分はしっかりしてないし、頭の回転もどうも…。
しかも、交渉ごとなどやったことが無いし、どこまでできるのか、
すごくすごく不安ですが、もしや、かなり良い人生経験をしているのでは…と、
前向きな気持ちで臨んでいきたいと思います。

安い買い物ではないですし、自分がきちんと返済していける
無理のない金額でないと、当然、購入すべきではないですから…。
今後もよろしくお願い致します。

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://app.dcnblog.jp/t/trackback/104620/10382533

大家からの購入打診についてを参照しているブログ:

コメント

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。

不動産相談インデックす

  • http://fudosan.jp/
    新規相談受付は、上記から。

    ◆Fudosan.JPに、皆様から寄せられたご相談で、アドバイザーさんからご回答頂けた記事をまとめた、 不動産相談事例集です。 トラブルの未然防止、相談の解決に向けてお役に立てればと公開しています。 アドバイザーさんからのアドバイスを、大いにご参考ください。

    ◆右上の検索ボックスで、お調べになりたい言葉を記入し、検索するか、 右のカテゴリーの、「借りる」「貸す」「売る」「買う」「建てる」「資産」から、お探し下さい。

    ◆各記事に、コメント投稿による追加のご質問、ご相談は受け付けていません。こちらより、新規にご相談ください。

    ◆各記事に、アドバイスを投稿されたいアドバイザーさんは、こちらを参照の上、ご投稿ください。

    ◆毎日の、新着不動産相談は、⇒ 不動産相談.comへ。

トラブル事例集の検索

  • 調べたいキーワードを入力ください

カテゴリーリスト