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原状回復の範囲について

相談内容 

兵庫・30代男性
入居3年のハイツ(築30年)から引越して、19日目に
大家から敷金の精算について電話がありました。
原状回復とのことで、内容は以下の通りです。

   1.畳の変形(畳床修正)…\5,000
    上にテレビ置いてたので、脚のあとです。表替えでは直せないそうです。

   2.エアコンの付跡、ビス跡の直し…\15,000

   3.壁面のタイルの張替…\30,000
    流し台の湯沸かし器を入居後つけた際、ビス穴を開けたということです。

   4.流し台吊戸下部のビス跡の直し…\2,000
    湯沸かし器の上部から出る熱を防ぐため、好意でつけました。

   5.和室柱の落書き、傷跡、凹み部分の修理…\25,000

   6.天井部分の損傷により張替と塗装…\46,000

合計で約13万円のため、敷引返金は35万円でした。
いろいろ調べた限りでは、1、2は貸主の負担になると思いますが、
本当に上記の全てを借主側が負担しないといけないのかを、
是非、教えていただきたいです。

特に、5、6につきましては、まったく覚えはないです。
引渡時は仲介不動産を介さず、大家と私だけ見てたのですが、
その時は双方とも気付いてませんでした。
夫婦2人で子供もおらず、もちろん書いた覚えもありませんので、
鉛筆の落書きはありえないと思います。
ただ、入居当初はそこまでチェックしていません。

また、後日、天井の損傷を確認しに行くですが、
大家は貸主の責任としてしか考えてないようです。
話がまとまらなければ、少額訴訟でも起こすしかないでしょうか?
司法書士とかなにかに相談した方が良いでしょうか?
サラリーマンなので、費用も時間もなく、凄く悩んでます。
具体策を、どなたかご教示いただけませんでしょうか?



□■アドバイス:1


  まず、1.2.3とも、
   ●契約上、制約があったか
   ●取り付けるときに事前に報告したか
  が一つのポイントです。

畳の部屋にTVアンテナの端子はありましたか?
あったなら、常識内のTVの重さでついた跡は、損傷にはなりません。
アンテナがなくて、勝手にひっぱてきて置いていたとしても、
損傷にはならないでしょう。
ただ、畳表の井草が切れていたりしたら、損傷負担です。
エアコンも、ビスで留めざるをえない他の方法が無ければ、損傷外です。
付けてはいけないとこに勝手につけたなら損傷対象ですが、
冷媒管の穴は、開いていたのでしょうね?
なら、常識の位置につけたわけですから、対象外です。

3も、勝手に湯沸し器を付けたかが問題です。
これは、絶対に付けなければならない器具とも言えない要素があり、
付けることの潜在的権利も難しいです。よって、無断で付けたなら、損傷賠償。
防熱板をつけた好意も、損傷の免責にはなりません。

5.6は、以前あったかどうかが決め手です。
覚えが無いことは正当な理由ではありませんが、家主が証拠を提示しないで、
強制的に差っ引くなら、小額訴訟です。

行政書士に相談するのは、手間が掛かるので、訴訟の方が早くて良いでしょう。
ただ、金額が少ないので、自分で全てやら無いと元!は取れません。
7.1万円のうち、最大半分と覚悟して、それ以下なら万歳ですが、
代理人を使えば、足が出ますよ。
裁判官により、かなり違うので、絶対や客観性は担保できません。

お子さんもいなく、落書きはすることはない…は、
かなり説得力があって有力だと思います。
天井の損傷は、どのようにしてなった可能性があるか、
家主側がきちんと説明できなければ、可能性を否定できます。
例えば、相談者さんが野球とか剣道が好きで、
バットや木刀の素振りをした可能性とかが例示されれば、半分以上…かな???

と、相談者さんのご不満はよくわかりますが、
3年で13万円は、総平均的に高くは無いので、気持ちと金銭負担を比較して、
良く考えてご決断ください。つまり10万円になるなら、
訴訟もせずに手を打った方が、得でしょう。
(査定のプロ・一級建築士 中尾正文さん)



■□相談者より

中尾様、早速のご返事ありがとうございました。
1~3は、契約書上、特に「つけちゃ駄目」という文面はありませんでした。
エアコンの横下に冷媒管の穴があり、テレビの後ろにもアンテナ差込口があります。
だから、これは自信を持って対象外と言えるではないでしょうか?

3は、すでにタイルに穴があって、前住人が使ってた痕跡があったので、
つけたですが、向こうに断りの電話を入れたかどうかは覚えてありません。
これは私のミスです。
ただ、エアコン同様生活上必要な器具なので、エアコンの穴は貸主の範囲であれば、
これも同等じゃないかな…というのは私見ですが、致し方ない部分も分かっております。
5、6は、今日確認後、追ってご報告いたします。

おっしゃるとおり、金額と気持ちの整理ですね。私はある程度、納得できれば、
時間もないので、ごちゃごちゃと向こうとやり取りするつもりはありません。
ただ、何回か引越ししたものの、今回のようなことが初めてて、
   ●何の事前連絡もなく、明渡し後に2週間以上もたって払えと言われた
  から、腹が立ちました。
  本当は平穏に解決したいです。

  また、既に契約時保証金として70万円払ってるのですが、契約書には、
   ●その中の35万円は明渡し後に控除する
  としか書いてありません。
これは家賃滞納とか、物件の補修費用にあたるではないでしょうか?
その中に今回請求された費用含まれるはずではないでしょうか?
もしそうだったら、改めて交渉しないといけないので、ご教示お願いします。



□■アドバイス:2

まず、精算は、客観的に「絶対これが正しい」はありません。
双方が納得すればよいのが原則です。
行き違ったときに、専門的なアドバイスを参考にして決着をしてください。
湯沸かし器については、事前に穴が開いていたなら、
相談者さんのご意見が説得性がありそうですがね。

ところで、保証金控除とは、一般的にスケルトンなどの物件で
原状回復義務のある物件での、契約更新時にとられる金銭が多いようですが、
この現状についての説明は、他の方の助言を待ってください。
ただ、家賃滞納をしなくてもとられますから、家賃補填分でなく、
物件の補修費用に充当する意味合いの金銭と解釈する方が、妥当でしょう。
つまり、更新時でなく明け渡し時とのことなので、
1回きりですから、このように解釈して良いと思います。

なお、明け渡し後2週間は、遅くは無いと思いますが…。
(査定のプロ・一級建築士・中尾正文さん)




□■アドバイス:3

保証金控除には、関西の「敷引」が関係しているのではないでしょうか?
  もし、そうでしたら、相談者さんは、まず先に、
   http://fudosan.jp/cgi-bin/soudan/wforum.cgi?mode=find&page=0&list=
などから、「敷引」、「敷金」などで検索し、
過去の類似相談などを参考にしてください。

ただ、「敷引=納得できない」と言うことになってしまいますと、
賃貸のルールに関しましては、業界でも未だ混沌としており、
参加エージェントの皆様の中でも、下記のような様々な議論がなされている内容です。
   http://fudosanbbs.2525.net/2005/08/post_0829.html
   http://fudosanbbs.2525.net/2005/08/post_9870.html

ですので、
   http://fudosan.jp/cgi-bin/soudan/wforum.cgi?mode=allread&no=2998
   http://fudosan.jp/cgi-bin/soudan/wforum.cgi?mode=allread&no=2960
のように、「本当に妥当なもの」なのかどうなのかを、
断言することはできないと思います。

中尾様のおっしゃる通り、「絶対これが正しい」はありません。
最終的にトラブルになってしまった場合、双方の主張が相容れない場合は、
やはり、法的に決着をつけるということになります。

ですので、ご自身の主張の妥当性を確認なさりたい場合は、
より個別な回答をお求めになるのであれば、まず先に、
   http://fudosan.jp/database/houritsu.html
のリンクから、
法律の専門家の無料相談などをご確認される方が宜しいと思います。
(わんえるで~おー・前野)




□■アドバイス:4

保証金の控除と敷引きは、若干、表現が違うのですが…。
でも個人の住居物件で、保証金の控除(保証金の償却?)と言うのもあるのですね。
敷金の控除が駄目なら保証金の控除にする…ということでしょうか?

ここからは、「全くの個人的な意見であること」を最初にお断りします。
どの様な名目をつけようが、契約書にその内容の明記が無いのは
消費者契約法の10条により無効になると思いますし、明記があったとしても
賃借人に一方的に不利な条項は無効になると思います。

  (消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
   第十条 民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合
       に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者
       契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して
       消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

この消費者契約法10条を根拠として、最高裁も慣習として認めていた敷引を、
地裁レベルで認めない判例が相次いでいます。
ですから、事業用賃貸の保証金の償却を消費者相手の住宅用の賃貸借契約に
持ち込むことはできないとするのが妥当であると思います。

  つまり
   ●その中の35万円は明渡し後に控除する
  という条項の無効を主張できる可能性はかなり高いと言えると思います。
但し、この35万円に関しては話し合いで解決する問題とは思えません。
交渉決裂→地裁への民事提訴となると思われます。

物件の補修費用にあたるかどうかについては、契約書に明記が無いので、
交渉するか、司法の判断によるしか無いと思います。
交渉して修理費を値引きしてもらったり、35万円を返して貰う交渉は
かなり難航するでしょう。
穏便に済ますのであれば、途中で諦める必要もあると思います。
あるいは、腹を括って地裁に提訴する方法もあるでしょう。
最終的に決めるのは、相談者さん自身になると思います。
(高原開発・涌井秀人さん)




□■アドバイス:5

涌井様、素晴らしいフォロー、痛み入ります。いつも本当に有難うございます。
私も個人の住居物件で、保証金の償却(?)があるというのは初耳でしたので、
「もしや敷引きでは?」という感じでした。すみません、言葉足らずで…。

涌井様のおっしゃる通り、この35万円を返してもらうとなると、
司法の判断になってしまうと思いますので、私も、相談者さんが妥協点を見出すか、
あるいは対決するか…を、ご自身で決められることになると思います。
(わんえるで~おー・前野)




■□相談者より

中尾様、涌井様、前野様、いろいろご意見ありがとうございました。

先日、5.6の欠損部を確認しに行きまして、5ははっきりと自分の責任ではない
ということですが、6については親指ぐらいの穴が天井にありまして、
明け渡し時に、私も大家も気付きませんでした。

保証金(敷引き)、言い方はどうであれ、契約時は35万円引きで合意していたので、
これについてはなにも今となって、ごちゃごちゃしたくないです。
ただ、今回の補修費用はその中から捻出すべきだ…ということだけは、
向こうに分かってほしかったです。
そのため、大家(実は管理会社)の前任者(入居当初の責任者)に確認したところ、
もちろんその35万円で、通常、使用上で発生された分の修理費用にあてるのは
当たり前のことで、本人もそうしてきたとおっしゃってました。
ただちに、今回言ってきた責任者に電話し、
   ・1.2.3.5は向こうが持つべき分
   ・4はこちらが勝手につけたのでこちらで持つ
   ・6は入居当初確認していないが、入居中にやってないという説得力のある
    説明はできず、ただし、明渡し立会い時、先方も指摘してないこともあり、
    折半にする
  と、交渉しました。

前任者とは良いお付合いもあって、とりわけ話してみて誠実さを感じました。
今回の費用は充分35万円の中で処理できると言われていたのですが、
責任の所在さえ明確にしてもらえば、その分を支払って、早く解決したい…
との思いで交渉しました。
あの落書きは、どう見ても年期の入った傷だらけの柱に鉛筆の四文字からして、
かなり年月が経っています。
それを言ってきたのは、もしこちらが黙っていれば儲けもん…みたいな
安直な考え方してるようにさえ、推測したくなります。
もしそうだったら、最悪ですね。

とりあえず、どう出るか分からないですが、
今月いっぱいまでに返答をくれるので、待ちます。
何か新しい動きがありましたら、またご質問させて頂きたいです。
お力お借りするかもしれませんが、よろしくお願い申し上げます。




■□相談者より【結果報告】

毎度、お世話になります。
本件は管理会社と交渉した結果、向こうの請求分の中で、「4のビス穴分」と
「6の天井穴の半分額」をこちらが持つということで決着がつけました。
残りの分はすでに保証金から敷き引きされる35万円の中で
充分まかなえるということです。
結局、2万円ちょっとで引かれて、残りは全部返金されました。

いろいろご助言のおかげで、きちんと自分の考え方を先方に伝えたことで、
無事解決につながったと思います。
私の場合は、もし何も言わなかったらそのまま払って損したかもしれず、
とりあえず、お互いの考え違い部分を知ることが重要でした。
先方も場合によって、ちゃんと対応してくれないこともあると思うので、
交渉によると思います。

今回はいろいろありがとうございました。
このサイトも、これからありがたく使わせて頂きたいので、よろしくお願いします。

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