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隣に建つ家に対して法的に要求できることについて

相談内容 

奈良・20代女性
我が家の南側に家が建ちます。
ここは用途地域が準工業地帯で、壁面後退の規定がなく、
後退してもらうことはあまり望めないだろうとのことでした。

他の回答を拝見すると、境界から1メートル以内に建築するときには、
何らかの対策を法的に要求できるという内容がありました。

そこで、法的に要求できることを、ぜひ、具体的に教えてください。
ぎりぎりに建てられるなら、せめて目隠しをしてもらったり、
エアコンの室外機置き場、給水装置の排気装置、
トイレなどをこちら向きにつくらないなど要求することはできるのでしょうか?

また、準工業地帯でも要求できるのでしょうか?


  ★以下の相談も本相談の類似相談です。

   我が家の隣に建設会社が家を建て売りします。
   設計図では、我が家に騒音の被害が考えられることから、
   その設計を反対しました。

   しかし、話を聞き入れてもらえず、来週から家を建てはじめるというのです。
   どうやら、もう片隣と先に、トイレや台所を向けない契約をしたらしく、
   我が家の意見まで取り入れると、家が建てられないかららしいのです。

   このような場合、どうしていけばいいのでしょうか。

                          大阪・20代女性




□■アドバイス:1

相隣関係における民法の規定は以下の通りです。

  ●建物の建築と境界線
建物を建てるには、境界線から50cm以上離さなければなりません
(民法第234条第1項)。
この規定による間隔は、相隣者の間で協議し合意すれば、狭くすることもできます。
前の規定に反して建物を建てようとする者がいるときは、隣の土地の所有者は、
その建築を止めさせ、または、変更させることができます
(民法第234条第2項本文)。
それをも無視して建築が進むようであれば、建築工事の差止めを求め
裁判所に申請することができます。
ただし、建築に着手してから1年以上たったとき、
またはその建築が完成してしまった後では、中止・変更の請求はできず、
損害賠償の請求しかできません
(民法第234条第2項ただし書)。
前の規定と異なった慣習があるときは、その慣習に従います(民法第236条)。

  ●建物の窓、縁側と境界線
境界線から1m未満のところに、他人の宅地を眺めることができる窓や
縁側を作ろうとする者は、目隠しをつけなければなりません
(民法第235条第1項)。
前の規定の距離は、窓または縁側の最も隣地に近い点から直角に測って
境界線に達するまでを計算します
(民法第235条第2項)。
前の規定と異なった慣習があるときは、その慣習に従います(民法第236条)。

ということになっていますので、目隠し等の要求は
ケースによっては可能であると思います。
また、その他の要求につきましては、将来、不法行為になり得る要素の排除に
関する要望ということで交渉したらいかがでしょうか?

簡単に言うと、
「将来、生活に関して迷惑をこうむる可能性があり、もめることがあるかもしれない。
 だから、新築時に最初から迷惑となる可能性のある要素は排除して頂きたい」
ということで要望を出すことです。
(高原開発・涌井秀人さん)




■□相談者より

涌井様、ご回答ありがとうございます。
「お願いするしかない」ということは、相手の業者さんに嫌だと言われたら、
諦めるしかないのでしょうか。
また、南側の家は、うちとうちの西隣の家とに面しています。
うちは南面に奥行き3mほどの庭がありますが、お隣は境界から1m足らずのところまで、
2階建で家を建てていらっしゃいます。
今までは裏は田んぼでしたから、お隣は目隠しもつけていないし、
室外機も南向きに置いてあるし、洗濯干し場もあります。
こちらが相手に目隠しをつけてくれとか、室外機を置かないようにしてくれとか言うと、
「じゃあ、そちらも目隠しをしたりしてください」と言われてしまうでしょうか。
前から建てているとか、南側だとか、そういうことは関係するでしょうか。
お隣とも「べったり建てられたら嫌ですね」と話をしているので、
一緒に話を進めようと思っているのですが…。
それと、土地のもとの持ち主の方にも、業者の方にお願いしてもらいたい
と思うのですが、効果はあるでしょうか。




□■アドバイス:2

質問とは若干外れるかも知れませんが…。
最近は、ご質問のような相隣関係で問題が生じることも良くございます。
そこで市町村レベル、もしくは団地単位レベルで、
  「建築に関する指導指針」
や条例を施行している自治体が増えています。
団地単位の場合は、市町村の条例として、その団地のみを対象に指定するように
議会や行政に働きかけをしていますね。

恐らく相談者さんのお住まいの地区は、そういう意味では
遅れている地域なのだと思います。
その様な条例や指針の無い地域では、
現状は交渉してお願いするしかないと思います。
今から行政に相隣関係に関する条例化を陳情(最近は「要望」ですか?)
をしても、間に合うとは思えませんし、既存建物を全て対象にするのも、
かなり難しい面があると思います。

西側隣地の方と協力して、
業者に対して繰り返し要望を出していくということになると思います。
効果は判りませんが、やらないよりはやった方が良いと思います。
(高原開発・涌井秀人さん)




■□相談者より

度重なるご丁寧な回答、ありがとうございます。
自治体にも相談して、業者に要望書を出してみたいと思います。
やはり電話での口約束より、書面での回答を求めた方がよろしいでしょうか?
書面で回答してもらったら、実際に建築されたものと約束が違ったら
法的に改善を要望できますか?
しつこくてすみませんが、よろしければ教えてください。




□■アドバイス:3

市町村の建築課等にご相談なさるのと同時に、
貴方のお住まいの地元自治会とか隣組にご相談なさる方法が有力であると思います。
業者への要望書は、個人名より自治会等の代表者名や隣組の組長名で出せれば、
より効果はあるはずです。
当然、業者への要望は書面でなさるのが宜しいかと思いますし、
業者の返答も書面でお願いするのが良いと思います。

法的な改善要望につきましては、民事は民事ですから、
明確な関係法規違反や司法の判断が無い限り、
基本的には法的な強制力は無いと思って下さい。
但し、自治会等の代表者名で要望を出す場合は、その地域の慣習的な意味合いが
強くなりますので、実際に民事裁判になった場合は、かなり有利になると思います。
個人の要望と自治会の総意としての要望では、司法の判断も、業者の対応も、
かなり違うと思います。
また、改善要求を受け入れるという内容の返答を業者より取っておけば、
より有利なことは間違いないでしょう。
(高原開発・涌井秀人さん)



■□相談者より

涌井様、重ねての質問にご回答いただき、本当にありがとうございます。
アドバイスを充分に参考させていただき、がんばってみます。
今後、交渉の中でまたアドバイスをお願いするときがあるかもしれませんが、
そのときは、また、どうぞよろしくお願いいたします。
本当にありがとうございました。

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