相談内容 借地の一方的な更新要求について
神奈川・40代女性
昭和40年に亡父が土地を借り、持ち家(木造)を建てて住んでおります。
契約書の発行を地主に依頼しましたが、なぜか応じてもらえずに
今日に至っております(しかし、借地料支払の領収書がありますので、
旧法での契約成立は立証できます)。
親の話では、これまで2回更新時期があり、当方より更新料支払いについて
地主に聞いたところ、1回目の先々代の地主も、2回目の先代の地主も、
共に更新料は不要と言ってくれ、払っていないそうです。
しかし、昨年、先代の地主が亡くなり、
長女が土地を相続したのですが、更新年にあたる今年になって、
地代値上げと共に更新料200万円を請求されました。
そこで、以下、宜しくお願い致します。
1.地主側からは、
「地主の名義が変ったら、更新料を支払うことになっている」
と言われているのですが、そういうことはあるのですか?
2.他の相談には、借地の更新について、
●1回目は30年、2回目は20年、3回目は10年
とありました。
そうすると、昭和40年(1965年)から借りた場合、
1回目 1995年
2回目 2015年
ということになります。
親は過去2回更新したと言っていますが、
本来、今年は更新年では無いと理解してよろしいのでしょうか?
□■アドバイス:1
1.それは全くのでたらめですね。基本的に更新料支払いの約定が
契約書にないかぎり、更新料の支払い義務はないと理解されます。
2.平成4年7月以前の借地契約の場合は旧法(借地法)が適用されます。
旧法の場合は木造の場合、契約期間は20年以上、更新後の契約も20年以上、
以降も、建物が存続する限り20年以上の契約となります。
(2回目20年・3回目10年は平成4年8月以降の新法(借地借家法)が
適用される場合に限りますので、今回は該当しません)
ところで本件借地契約は、「契約書が存在しない」とのことです。
その場合、当初の契約期間がハッキリしません。
よって、期間の定めのない契約と理解すると、木造の場合、その契約期間は
30年になりますので、最初の更新が1995年です。
次の更新も同様と考えますと、やはり期間30年で2025年となります。
よって、本年は更新年ではありません
(「過去2回更新した」というのがちょっとわかりませんが…)。
(ささもとグループ・福原康洋)
□■アドバイス:2
私見ですが、旧借地法の場合は、地主の権利については、
ほとんど規定されておらず、借地人の保護について重点的に規定されています。
地主の名義が変ったから、更新料を支払わなければならないという規定は、
旧法には規定されておりません。
これについては、断ることが可能だと思います。
更新については、
第5条 当事者カ契約ヲ更新スル場合ニ於テハ借地権ノ存続期間ハ更新ノ時ヨ
リ起算シ堅固ノ建物ニ付テハ30年、其ノ他ノ建物ニ付テハ20年トス此
ノ場合ニ於テハ第2条第1項但書ノ規定ヲ準用ス
2 当事者カ前項ニ規定スル期間ヨリ長キ期間ヲ定メタルトキハ其ノ
定ニ従フ
としか規定されておりません。
つまり、更新後は20年以上の期間ということになり、2回目とか3回目とかは
別に規定されておらず、建物が存在する限り、この更新期間は20年以上で続く
と理解するのが妥当かと思います。
3回目は10年というのは、新借地借家法の第4条のことかと思われますので
旧法の場合は何回目でも20年となると思います。
当然、更新期間については仰るとおり、
2回目は2015年に20年以上の更新行うということになります。
但し、建物の種類を規定してない場合は、
第3条 契約ヲ以テ借地権ヲ設定スル場合ニ於テ建物ノ種類及構造ヲ定メサル
トキハ借地権ハ堅固ノ建物以外ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノト看做ス
となっていますので、60年の契約をしたとも考えられますが、現存する建物が
木造の場合は、30年の契約で20年づつの更新とするのが妥当かもしれません。
どちらに致しましても、旧借地法の契約であるのならば、登記された建物が
存在する限り、借地権者(賃借人)の立場はかなり強いと思って下さい。
地代の変更につきましては、
第12条 地代又ハ借賃カ土地ニ対スル租税其ノ他ノ公課ノ増減若ハ土地ノ価格
ノ昂低ニ因リ又ハ比隣ノ土地ノ地代若ハ借賃ニ比較シテ不相当ナルニ
至リタルトキハ契約ノ条件ニ拘ラス当事者ハ将来ニ向テ地代又ハ借賃
ノ増減ヲ請求スルコトヲ得
但シ一定ノ期間地代又ハ借賃ヲ増加セサルヘキ特約アルトキハ其ノ定
ニ従フ
2 地代又ハ借賃ノ増額ニ付当事者間ニ協議調ハサルトキハ其ノ請求
ヲ受ケタル者ハ増額ヲ正当トスル裁判ガ確定スルニ至ルマテハ相
当ト認ムル地代又ハ借賃ヲ支払フヲ以テ足ル
但シ其ノ裁判ガ確定シタル場合ニ於テ既ニ支払ヒタル額ニ附則ア
ルトキハ不足額ニ年1割ノ割合ニ依ル支払期後ノ利息ヲ附シテ之
ヲ支払フコトヲ要ス
3 地代又ハ借賃ノ減額ニ付当事者間ニ協議調ハサルトキハ其ノ請求
ヲ受ケタル者ハ減額ヲ正当トスル裁判ガ確定スルニ至ルマデハ相
当ト認ムル地代又ハ借賃ノ支払ヲ請求スルコトヲ得
但シ其ノ裁判ガ確定シタル場合ニ於テ既ニ支払ヲ受ケタル額ガ正
当トセラレタル地代又ハ借賃ヲ超ユルトキハ超過額ニ年1割ノ割
合ニ依ル受領ノ時ヨリノ利息ヲ附シテ之ヲ返還スルコトヲ要ス
となっております。
新しい地主が一方的に地代を上げることができるものではございません。
★福原康洋様へ
記述中に先にご返答がありましたようで、重複している部分もございます
が、ご容赦願います。
(高原開発・涌井さん)
■□相談者より
福原様、涌井様、ご丁寧な御回答、どうもありがとうございました。
とても助かります。
申し忘れましたが、親の話では、
●昭和51年に2階を増築した際の地主の許可書
(承諾書と言うべきでしょうか?)
に、昭和40年から土地を賃貸していることを追認する記述があるそうです。
この書類に、家屋が木造であることも記載されているのでは…と思料致します。
そこで、念のため、確認したいのですが、
1.木造であっても「堅固ノ建物」とされる
(=鉄筋コンクリート等である必要は無い)
2.木造の場合の契約期間は「20年以上」であるが、
契約期間に特段の取り決めがない場合は30年とされる。
との理解でよろしいでしょうか。
しつこくてすみませんが、もし「木造=20年」とすると、20年+20年で、
今年が更新年に当たってしまいますので、御確認をお願いする次第です。
(なお、増築時の書類に、契約期間に関する記載があるか否かは確認しておきます)
何卒、宜しくお願い致します。
□■アドバイス:3
1.木造は「非堅固建物」です。
2.そのとおりです。旧法では、期間を定めていない場合、
「非堅固建物」の場合は期間を30年と法定します(「堅固建物」の場合は60年)。
ですので、更新は30年+30年…となります。
(初回は30年、2回目も期限の定めがなかったので30年です)
次回以降は20年以上で規定するか、定めがない場合は30年になります。
これは建物が老朽化し、建物が存続できなくなるまで続きます。
★涌井様へ
こちらのほうこそ、重複に気がつきませんで、済みませんでした。
今後とも宜しくお願い致します。
(ささもとグループ・福原康洋)
□■アドバイス:4
ご質問の内容に関しましては、福原様がご回答なさっている通りだと思います。
そこで、実際の今後の対応について、若干のアドバイスを…。
今回のトラブルの原因について考察してみますと、新地主が旧借地法に関して、
全く無知であることが原因だと思います。
まず、旧借地法を下記サイトよりダウンロード、もしくはコピープリントして、
提示するなりして、更新時期について話し合うべきだと思います。
http://www.houko.com/00/01/T10/049.HTM
(法庫さんのサイト http://www.houko.com/ より)
また、地代についても、値上げするには、
●一方的ではなく、それなりの根拠の提示をした上での交渉によって
改訂が可能であるということ
を、旧法の条文を提示しながら説明してあげるべきです。
地主は、単に旧借地法の内容について、無知なだけだと思います。
良く説明して、地主に納得して頂くことが肝要かと思います。
(高原開発・涌井さん)
■□相談者より
涌井様、どうもありがとうございました。
地主(実際には代理人)は無知で言ってるのか、知っていて年寄り相手に
わざと言いたいことを言っているのか、解らないところがあります。
高い更新料を吹っかけてきたと思ったら、
今度は底地の買い取りを持ちかけてきました。
実のところ、相続税が払えず、現金が欲しいらしいです。
いずれにしましても、お蔭さまで当方に有利に話を進めることができそうです。
重ねまして御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
福原様も、改めまして、どうもありがとうございました。