« 不動産業者に言いたいことを言えない場合について | メイン | 相続時の賃貸契約名義変更の際の事務手数料について »

建設現場内での自殺に起因する解約について

相談内容 建設現場内での自殺に起因する解約について

東京・30代女性
去秋、マンション購入の契約を行い、
販売価格の5%にあたる200万円を手付金として支払いました。
しかし、今年の5月に、建設現場内(併設する立体駐車場)にて、
飛び降り自殺が起きました。

当然、気持ちのいいものではなく、資産でもあるマンション価値にも
疑問を感じました。そこで、契約時とは状況(事件がある前と後)が違うと
強く意識しており、契約を解除したいと考えています。

しかしながら、マンション販売会社からは、
「手付金の返還事由ではない」と、連絡を受けていますが、
一切、交渉の余地はないのでしょうか?


□■アドバイス:1

私見ですが、契約後の自殺ということになりますと、
かなり難しいのでないかと思います。

一般的には、室内ではない共用部分からの飛び降り自殺に関しましては、
精神的瑕疵には当らず、資産的価値も下がらないとされている考え方が多い様です。
業者には、
   ●お祓いをして、購入者には、
    「飛び降り自殺がありましたが、現地においてお祓いを済ませております」
    と言う説明を行えば良いのではないか?
と言う考え方が多い様ですし、実際にそれ以上のことは、
対応としては難しいと思います。

今回のご相談は、弁護士によっても見解は分かれることが考えられる
微妙な問題だと思います。しかし、貴方がどうしても納得いかないのであれば、
今回のケースが精神的瑕疵に当るかどうかを、
弁護士等の専門家にご相談された方が宜しいかと思います。
(高原開発・涌井さん)


■□相談者より

知人の弁護士に相談致しましたが、
「状況と契約書を確認する限り、抗弁できず」
との返答でした。
そのため、
「契約外の特例措置のお願いをするしか方法はないのでは?」
とのことです。
600世帯が入る物件ですので、他にも同じように考えている方も
大勢いると思いますが、何もできないのでしょうか?
このまま、諦めなければいけませんか?


□■アドバイス:2

私見ですが、600世帯以上の大型物件ということになりますと、
実際に入居予定者がまとまることは、今現在の状態では、ほぼ不可能と言えるでしょう。
まだ売れていない部屋もあると思いますが、今後は重説に、
前の返答で入れたような説明を明記することと思います。
その場合、新しい購入者は、駐車場での飛び降り自殺については、
承諾して購入したということになるかと思います。

建設途中でも、部屋の中で自殺した場合は全く事情は変ると思いますが、
隣接する駐車場ということになりますと、貴方の知人の弁護士の方の仰る通り、
かなり難しいと思います。

どうしても、貴方が気になる様でしたら、
   ●手付金を全額とは言わず、半額とか、戻してもらうように交渉する
のが、良いのではないでしょうか?
一方的な貴方の事情による解約とも言えないとは思います。
多少なりとも、貴方が解約したいのには、
不可抗力とも言える事情がある訳ですから、全く交渉が不可能とも思いません。

往々にして交渉は騒いだ者勝ちということもありますから、
分譲業者はかなり嫌がるでしょうが、しつこく交渉してみてはいかがでしょう?
(高原開発・涌井さん)


□■アドバイス:3

こんにちは。
自殺は瑕疵(心理的瑕疵)に該当しますから、契約後の毀損といえるでしょう。
危険負担の考えが可能だと思います。
不動産の売買契約は、通常の場合、危険負担を売主に負わせており、
契約後の物件の毀損や滅失の場合に、減額や契約解除を認めています。
しかし、売主は、たぶんこの話には同意しないと思われるので、
法律的な決着は訴訟によることになります。けれども、交渉によって、
手付金は全額返還、幾分かの事務手数料の支払いということで
解決するのが好ましいでしょう。
(Fudosan.JP参加エージェントさん)


□■アドバイス:4

共有部分の瑕疵につきましては、
   http://fudosan.jp/cgi-bin/soudan/wforum.cgi?mode=allread&no=4681
このNo.4681~4739の記事が参考になるかと思います。

この時の記事にあげられている、財団法人不動産適正取引推進機構発行の
宅地建物取引の判例(8)に収録されている、東京地裁判決・平成13年11月14日
の判例が参考になると思います。
精神的瑕疵は、瑕疵と言う意味では雨漏り等と同じと考えられます。
契約書に特約等が無い限り、売主の責任を問うのはかなり難しいと思われます。

実際に、裁判になってみなければ、わからないことではありますが、
個人的な意見としては、おそらく、東京地裁判決・平成13年11月14日の判例の様に、
精神的瑕疵とは認めても、賠償責任や販売責任等は認められないという雰囲気
になるかなぁ…と言う感じが致します。この判例を見る限りにおいては、
やはり、購入者が勝てる可能性はかなり低いでしょう。
(高原開発・涌井さん)


■□相談者より

ご返答ありがとうございます。
専門的なご意見、深く感謝いたします。大変参考になります。
交渉への良策があれば、また、ご指導お願いします。
先般からのキャンセルの申し出に対しては、マンション側のセールス担当には、
露骨に迷惑がられていますが、交渉を続けます。
なお、マンション側から事実説明の文書が届きましたが、
「高所から落下する事故」と添えられているだけの内容でした。
セールス担当も含め、購入者に対し、誠意あるケア、メンテナンスとは
言い難い対応は、非常に残念に思います。


□■アドバイス:5

共有部分での飛び降り自殺自体は
精神的瑕疵に該当することは間違い無いと思います。
しかしながら、それが専有部分(=購入した部屋)の瑕疵
とするのは難しいということだと思います。

業者側の説明の件ですが、どの様な対応をしたのかも説明されておりませんので、
この様な説明では不十分だと思います。
共有部分とは言え、その精神的瑕疵を如何に消滅させる努力をするのかは、
大型マンションでも重要でしょう。
最低でもお祓い等をして、精神的な瑕疵部分の除去を行う努力をすると共に、
事故現場の工事のやり直しを行うべきでしょう。
また、それらの対応を購入者、および購入予定者に詳しく説明すべきでしょう。

その辺りの不誠実な点をついて、交渉するのも「あり」だと思います。
(高原開発・涌井さん)


□■アドバイス:6

こんにちは。恐縮ですが、ちょっと勘違いがあると思います。
この判決は、1区分所有者が、自己が所有する専有部分を売却する場合に、
団体的管理の対象である共用部分の瑕疵については
特段の事情が無ければ責任を負わないというものです。

今回の場合は、分譲主は1棟の建物の全部を最初に所有する者ですから
(通常、敷地の全部も所有している)、販売対象には共用部分等も含まれており、
その分譲の責任は、専有部分とともに共用部分等にも及びます。
加えて、自殺の場所が共用部分等であったとしても、その瑕疵は専有部分利用の
心理的障害、専有部分の価値(価格)の下落としてあるのですから、
専有部分の瑕疵といえるでしょう。

 ★Fudosan.JPサポート補足★
   本アドバイス内の匿名でご回答いただきましたエージェント様は、
    http://fudosan.jp/cgi-bin/soudan/wforum.cgi?mode=allread&no=4681
   こちらのNo.4681~4739で回答いただきました方と同一です。

(Fudosan.JP参加エージェントさん)


□■アドバイス:7

今回の件につきましては、
全宅連の発行している「リアルパートナー」に掲載されている、
精神的瑕疵の分野について研究されている文章を参考にしていますので、
間違いは無いと思います。この問題については、比較的、早く、
本部からの資料も送られてきましたので、元々全宅連にも相談が多かったのだと思います。

実際に裁判になった例が報告されているわけではないのですが、
実際に裁判になっても、大型マンションにおける工事現場での飛び降り自殺において、
専有部分の瑕疵とまでするのは、かなり無理があると思います。

前出のリアルパートナーの記事を読むと、大型物件については、
あまり問題は指摘されておらず、住宅等については、やはり、
問題が多く指摘されていると感じました。
一般住宅の場合は、やはり、相当の期間の経過がなければならないでしょう。

リアルパートナーの記事につきましては、あくまでも判例ではありませんが、
それなりの専門家の記事でもありますし、私も間違いがあるとは思っておりません。

なお、「共有部分も販売対象に含まれている」と言うのも、
あまり賛成は致しかねます。最終的には管理組合に移管はするのでしょうが、
占有者への販売面積に含まれている訳ではありません。
売買契約書も占有部分に限定した契約書になっているかと思います。
住宅等における敷地内での別棟の自殺が瑕疵となるのは、
これは明確に売買の対象ですから、はっきりしている訳ですが、
マンションの共有部分は売買契約の対象として明記されている訳ではありませんので、
この辺りは、やはり、司法の判断によるしか無いかもしれません。

マンションを丸ごと一棟まとめて売却したのならば、もっと判り易く、
当然、ご指摘の通りだとは思います。

ところで、中古マンションでも飛び降り自殺は結構ありますが、
実際にそれによってマンションの占有部分の価値が下落したという事例は、
実際にはあまり耳にしておりません。
共有部分、それも別棟の駐車場の工事現場での飛び降り自殺によって、
専有部分の価値が下落したことを証明すること自体も難しいと思います。

それと瑕疵で良く問題になるのは、隠れたる瑕疵であり、
かつ売買契約時点で買主が知らなかったということなのですが、
そういう点から考えても、瑕疵と言うのには、若干の無理があるかも知れません。

売買契約締結後に生じた不足の事態(=天災と同じ様なもの?)ということで、
契約の解除に当たるかどうか…という方が、利にかなっている気が致します。
しかし、天災の場合でも、それによって生じた物件を元通りに修復して
引き渡せば良いのですから、これも修復すれば足りるとも思われます。

しかしながら、「精神的瑕疵はいつになったら消えるのか?」、
「どの様な方法を取れば消せるのか?」などは、
確かに目に見えるものではありませんから、一概には言えないと思います。

もし、相談者が、かなり有能な弁護士をつけて、実際に裁判を行って勝訴できれば、
それが良い事例にはなると思いますが、やはり、かなり難しいとは思います。
(高原開発・涌井さん)


□■アドバイス:8

おはようございます。
「『共有部分も販売対象に含まれている』と言うのも、あまり賛成は致しかねます。
 最終的には管理組合に移管はするのでしょうが、占有者への販売面積に
 含まれている訳ではありません。
 売買契約書も占有部分に限定した契約書になっているかと思います」

なのですが、共用部分は、わが国の法の関係で無主物とはできないので、
全区分所有者の共有とし、各区分所有者には共有持分があります。
また、その共有持分は専有部分の処分に従い、
専有部分と分離して処分することはできないとされています。
従って、新築分譲であれ、一区分所有者による中古売買であれ、
共用部分の共有持分も取引の対象になります。
なお、専有部分と一体の処分が法定されているので、登記上はありません。

この点、マンション新築分譲の瑕疵で問題になるのは、多くは共用部分です。
品確法に該当する主要構造部分も共用部分でしょう。

 「それと瑕疵で良く問題になるのは、隠れたる瑕疵であり、且つ売買契約時点で
  買主が知らなかったという事なのですが、そういう点から考えても瑕疵と言う
  のには、若干の無理が有るかも知れません」

なのですが、瑕疵担保ではなく、危険負担です。
瑕疵としたのは、欠陥であると法的に認識されていることを言いたかったので、
瑕疵と表現しました。契約後の毀損に該当するのではないかという考えです。
(Fudosan.JP参加エージェントさん)


□■アドバイス:9

こんにちは。相談者さんへの返答というより、
アドバイザー同士の話し合いになってしまったことを、最初にお詫び申し上げます。

共有部分については、仰る通りの対応となります。
これは逆に言いますと、物権と言うよりは債権に近い正確を持つ
とも言えると思います。一種の利用権に近いものでしょう。
  
また、固定資産税の点から考えますと、共有部分については課税されない訳ですから、
財産的には無価値であると思われます。通行や維持には必要なものではあるが、
財産的には無価値(=道路の様なもの)とも考えられます。

共有部分に財産的価値をつけるとするならば、明確に登記できる権利とすべきですし、
固定資産税も課税すべきでしょうし、所有権だとすれば、共有登記を認めるべきでしょう。
やはり共有部分については「価値的には」利用権にとどまると解すべきだと思います。
この点につきましては、日本におけるマンション分譲の問題点とも言えると思いますので、
今後の課題とすべき問題かとは思います。

  「瑕疵としたのは、欠陥であると法的に認識されていることを言いたかったので、
   瑕疵と表現しました。契約後の毀損に該当するのではないかという考えです」
という考え方は非常に理解できますし、共感もできます。
しかし、元々財産的には無価値と思われる共有部分に毀損が生じたとしても、
その主たる目的ともいえる利用権を確保されているとした場合、
   ●属に言う精神的瑕疵が、その共有部分の利用の妨げになるかどうか
   ●契約の目的を達成できないということになるのかどうか
  は、私には判断のつかないところではありますので、
  やはり、司法の判断を仰ぐしか無いでしょう。
  もし、買主が、
   ●本来の目的を達成することができない
  という主張を行い、その主張を業者が受け入れるか、
  司法が認めれば、当然、解約は可能と言うことになります。

なお、民法上、危険負担は、特定物の場合は債権者主義をとっていますので、
契約書に危険負担の条項、もしくは特約が無い場合は、今回のケースは、
   ●「債務者(売主)の責に帰すべき事由により、目的物が毀損した債務不履行」
    というより、「不可抗力による履行不能」になる
  と、思われるのですが、
  これも認められるかどうかは、かなり疑問のあるところだと思います。
(高原開発・涌井さん)


■□相談者より

皆様の貴重なご意見を頂き、交渉を続けた結果、
手付金返還で合意解約にいたりました。本当に皆様に感謝いたします。
また、新しい物件にアプローチいたします。今後とも本サイトを参考にしながら、
楽しく、物件探しをしたいと思います。本当にありがとうございました。

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://app.dcnblog.jp/t/trackback/104620/15647564

建設現場内での自殺に起因する解約についてを参照しているブログ:

コメント

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。

不動産相談インデックす

  • http://fudosan.jp/
    新規相談受付は、上記から。

    ◆Fudosan.JPに、皆様から寄せられたご相談で、アドバイザーさんからご回答頂けた記事をまとめた、 不動産相談事例集です。 トラブルの未然防止、相談の解決に向けてお役に立てればと公開しています。 アドバイザーさんからのアドバイスを、大いにご参考ください。

    ◆右上の検索ボックスで、お調べになりたい言葉を記入し、検索するか、 右のカテゴリーの、「借りる」「貸す」「売る」「買う」「建てる」「資産」から、お探し下さい。

    ◆各記事に、コメント投稿による追加のご質問、ご相談は受け付けていません。こちらより、新規にご相談ください。

    ◆各記事に、アドバイスを投稿されたいアドバイザーさんは、こちらを参照の上、ご投稿ください。

    ◆毎日の、新着不動産相談は、⇒ 不動産相談.comへ。

トラブル事例集の検索

  • 調べたいキーワードを入力ください

カテゴリーリスト