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火災による契約解除について

相談内容 火災による契約解除について

神奈川・60代男性
ビルオーナーです。
テナントの飲食店から営業中に火災が発生し、店舗が全焼しました。
契約書に、
「物件が滅失した場合は、催告なしに契約解除」
とありますので、
即刻、契約解除通知をテナントに内容証明で送りましたが、
先方は、
「ビルが無くなった訳ではなく、改装すれば使える」
との理由から、契約解除は無効であると主張しています。
果して、契約解除は成立するのでしょうか?


□■アドバイス:1

私見ですが、火災の場合は、
基本的に損保会社の対応に準じて考えれば良いと思います。

賃貸物件の場合、火災を出した店舗等は、借家人賠償責任と言いまして、
大家、もしくは大家に火災保険料を支払った損保会社への
損害賠償を支払う義務が生じます。
これは戸建てのもらい火とは大きく違います。
この借家人賠償を補うのが借家人賠償責任保険なのですが、
その店舗が入っていなければ、かなり大変なことになるかもしれません。
当然、改装の義務も出火元が負担すべきことになる可能性が大きいと思います。

よく損保会社とご相談になり、誰がいくら負担するという示談を締結して、
補修工事を行うことと並行して、契約解除を行うかどうかは検討すべきだと思います。
借家人賠償責任も含めて、全額、損保会社から出るのであれば、
契約解除を行う必要は無いと思いますが、いかがでしょうか?

(高原開発・涌井さん)


■□相談者より

涌井様、貴重なご返事、ありがとうございました。大変参考になりました。

ところで、テナントへの賠償請求と賃貸借契約解除についてですが、
オーナーとしては、賃貸借契約解除を優先しております。
理由は、長年の契約の中で、一言で「信頼が置けない」ということです。
法律は破るわ、人の迷惑は顧みないはで、
人が見ていなければ何でもするテナントで、散々苦労しました。
  
今回の火災も不審な点が何点かあり、計画性の疑いがあることから、
警察へ訴えていますが、確固たる証拠がなく、
「あとは、オーナーとテナントの問題」として、取り合ってくれません。

今回の火災に関連して、油を多量に使用する店舗にもかかわらず、
消火器はない、ガス漏れ検知器はない
(今回、テナントはビルが古くガス管が腐り、
 ガス漏れしたのが火災の原因としております。
 営業中に店員が出火したにもかかわらず)、
  
また、自身でガス管を能力アップのために交換したり、
排気ダクトを改造したり、全てオーナーの了解なしに勝手に実行しています
(賃貸契約のオーナーへの承認義務があるにもかかわらず…)。

今回、契約解除が実現できれば、長年の念願で、不幸中の幸いと思っております。
テナントの狙いは、今秋予定の店内改装(約1,000万円)が
保険で実現できるためか、罪の意識はなく、始終にこにこしています。
  
また、オーナーに責任を被せ、オーナーへの賠償責任を回避し
(弁護士より火災原因がはっきりしたら、逆に賠償を請求すると言ってきています)、
賃貸契約が続行できると思っているようです。

つきましては、今回、賃貸契約の解除を実現するための問題は何か、
また、それを解決するにはどうすればよいか、アドバイスください。


□■アドバイス:2

私見ですが、契約書の条項違反と火災の問題は別に考えるべきかと思います。

火災につきましては、損保会社の調査員が詳しく調べると思いますし、
消防署や警察の火災の発生原因に従わざるを得ないでしょう。

長年の契約書の違反行為につきましては、全て列記の上で、
契約違反による解約を求めるべきだと思います。
住居とは違い、事業用テナント契約ですから、
契約書の内容を良くご確認の上で、対応することになると思います。

ところで、その店舗の営業内容にもよりますが、不特定多数の顧客が利用する
施設の場合は、講習を受けた防火管理者をおき、消火器や非常ベル等の
定期的な管理を行い、消防署に定期的に報告書を提出する義務があるはずです。
もし、それらをやっていないとしたら、それは消防法違反となると思います。
これは刑事罰ですから告訴・告発できます。
その店舗にどのような弁護士がついているのかは知りませんが、
もし、それを承知しているとしたら、かなり不思議な弁護士でしょうね。

火災原因もですが、日常の管理業務上で消防法違反があったかどうか
調べてみるのも良いかと思います。
もし違反があれば、民事上の問題では無く、刑事上の問題となりますので、
刑事告発、または告訴して有罪に持ち込めれば、損害賠償請求でも、
かなり有利に話を持っていけると思います。

なお、この消防法違反があったかどうかは、文面では解りませんので、
消防署に確認してみてはいかがでしょうか?

(高原開発・涌井さん)


■□相談者より

涌井様、ご回答ありがとうございました。
大いに参考になりました。お礼申し上げます。

涌井様より貴重なご意見を頂いておりますが、
その後、先方の代理人(弁護士)が、
「原状回復後、物件を明渡すが、契約解除は別問題」
と言っており、この度、
「火災により物件が使用できなくなったので、
 当方より賃貸借契約を解除する。当方に善管注意義務違反の事実はなく、
 オーナーからの善管注意義務違反による賃貸借契約解除は無効」
との通知が送られてきました。
この違い、および、先方の狙いは何でしょうか?
お教えください。


□■アドバイス:3

賃借人には、借りている物件をきちんと管理する義務がございます。
これに対して「善管注意義務」という表現を使います。
注意すべきは、事業用物件の場合は、民法以外に商法が絡んでくることです。

オーナー側から解約する場合は、損害賠償の請求もありうる訳ですから、
   ●オーナー側からの損害賠償の請求を避けるために、
    賃借人側から、「原状回復を行い明渡す」と主張してきた
のだと思われます。

賃借人側の弁護士も、貴方が意外にしっかりした主張をされたので、
賃借人側の立場が弱いことを認めざるを得なかったということだと思われますが、
貴方がどの様な主張をされたのか、弁護士がどの様な返答をしてきたのか、
正確な文面を確認しないことには、はっきりしたことは言えません。

ところで、消防法違反の件はご確認なさいましたでしょうか?

(高原開発・涌井さん)


■□相談者より

ご返事ありがとうございます。前回ご指摘の消防法の関係について、
消防署に問い合わせましたところ、客席数30名以上の店舗は規制がうるさいが、
それ以下のところ(当店舗は15席程度)では、消化器設置程度で良いとの説明でした。

しかし、数年前、油脂の付着の清掃と消化器の設置について
消防署より指導を受け、油脂は清掃したが、消化器は設置されていませんでした。
今回、最初、ちょろちょろの火が、ガス漏れ個所に見えたとの従業員の説明ですが、
消化器を使えば簡単に消せる火であったと思われます
(その他、不信な点がいくつもあり、計画的な犯行に思えてなりません)。

消防署は、従業員の証言と、現場のガス管(他のテナントへ行く管)が
破れた状況から、(正式な報告は2ヵ月後とのことですが)
安易に「そのガス管が出火個所である」と結論づけており、
そのことから、テナントは、
   ●火災原因は、ガス管の老朽化によるものであり、オーナーの善管義務違反であること
を、主張しています。

当方としては、ラーメン店の営業中に出火したものであり、
テナントの責任を追及しています。当方のとった行動としては、
契約に従い、物件焼失、および、善感義務違反により、
即刻賃貸借契約解除と明渡し、原状回復をテナントに通知しました。

これに対し、テナント代理人より、
  「従業員は、火災発生事故当時も従前からの使用方法に従って店舗を使用してき
   た。従って、賃借人の不注意で発生したものではない。むしろ、他のテナント
   向け配管の老朽化、または3階の改装工事によるガス管の亀裂により発生した
   ガス漏れが原因で、オーナーの善管義務違反であり、改めて損害賠償請求をす
   る。また、什器類は悪臭のため撤去するするが、明渡すつもりはない」
との通知を受けました
(テナント入居による工事中でしたが、まったく影響は考えられません)。

その後、
  「火災により賃貸物件を使用することができなくなったので、賃貸借契約を解除
   する。なお、オーナーからの賃貸借契約解除は無効である。損害賠償、保証金
   の返還は、追って請求する」
との通知文を受けました。

ところで、従業員はガス臭かったこと、また、目がチカチカしていたことを
強調していますが、火災時の見物人の証言から、
   ・最初はもくもくと多量の煙が上がっていたのを見た
   ・ガス爆発はなかった
   ・ガスの臭いはしなかった
などの状況から、当方はガス発火ではないとの見方をしております。
また、ガス漏れの個所は奥まり、入り組んだところで、
人が故意に火をつけなければ、コンロの火が油を通して伝わるところではないことを
消防署へも説明しました(ガス会社も不審に思っていました)。

しかし聞く耳がなく、消防隊の説明では、
  「現場に到着した時、ガス管から30センチ位の炎が上がっており、室内は煙が充満していた」
とのことでした。

簡単に火が消せるはずですが、10坪位の店舗を6時間掛けてようやく鎮火する有様で、
1階部分は全焼となりました。消防隊は店舗オーナーに、
「火が消せず申し訳ない」謝りましたが、実際は、最初の発火場所が奥の方にあったが、
従業員の誘導でガス管に関心が奪われている間に火がまわったのではないかと思われます。
そのため、消防署のミスを隠すのとテナントの利害が一致した疑いがあります。

見物人は、消防署の責任を指摘しており、消防署へ何度も足を運び、
消防指令長へも面会の上説明を求めましたが、黙して語らず、
報告を待ってくれ…の一点張りでした。
  
当方は、これから弁護士に頼らず、自らテナントと戦っていこうかとも考えています。
何か意見があれば、よろしくお願いいたします。


□■アドバイス:4

私見ですが、消防署の見解を覆すのは、かなり努力がいることでしょう。
一番は損保会社の調査員がどの様な見解を示すか…でしょうね。
でも、消防法違反とまではいかないかもしれませんね。

ガスの件については、ガス会社の見解を文章で出して頂いてはいかがでしょうか?
それと都市ガスの場合は、確か、ガス会社の検査員(?)が
定期的にガス器具やガス漏れの検査を行っているはずですが…。
そもそも、配管からのガス漏れで、その程度の被害で済むのでしょうか?
確かに、変な感じは受けますね。やはり、ガス会社の専門家としての意見を、
書類としてもらっておく方が良いでしょう。

消防署の指導を無視して消火器の設置をしてなかったのは、
明らかに賃借人に問題がありますから、この点については消防署から、
文章による証明をとっておいた方が良いと思います。

  相手の弁護士の言い分に対しては、
   ●消防署の指導を無視した消火器の未設置の証明
   ●ガス会社の意見
  とを併せて出して、対抗することになるのではないでしょうか?

さらに、オーナーの善管義務違反を相手が主張してきているのなら、
   ●要修復箇所が賃貸物件に存在する場合は、賃借人はオーナーに対して、
    その修復の必要性を報告する義務があること
を主張してはいかがでしょうか?
これは、多分契約書にも明記されている場合が多いので、契約書をよく確認して下さい。
  
賃貸人(=オーナー)には、修繕義務はありますが、賃借人には保管する義務があります。
その保管が正当に行われていたと仮定しても、物件の修繕についてはオーナーに報告し、
修繕を要求することが必要だと思います。
  
その要求をオーナーが拒否した場合は、確かにオーナー側の責任となるのでしょうが、
オーナーに報告を行わなかった場合は、やはり善良なる管理を行っていたとは
言えないのではないかと思います。
特に都市ガス等のガス会社による定期的な検査が行われているものについて、
通常は考えられない配管の亀裂が存在し、さらにそれに事前に気付いていた
のであれば、なおさら、修繕の必要性を報告すべきでしょう。
  
特に、賃借人は事業者であり、素人ではありませんから、
商人としてガス管等に対しても、常日頃からプロの目を持って
注意して営業する必要があるわけですから、
亀裂等については特に注意して営業すべきかと思います。
このあたりのことも諸事情を良く調べて、主張されてはいかがでしょうか。

それと、前回も言いましたが、過去の契約違反の列記ですね。
これをきちんと行うことです。
こちらによる契約解除を主張することも忘れないことだと思います。

  ※参考条文(賃借人の通知義務)
   第615条 
        賃借物が修繕を要し、又は賃借物について権利を主張する者があるときは、
        賃借人は、遅滞なくその旨を賃貸人に通知しなければならない。ただし、
        賃貸人が既にこれを知っているときは、この限りでない。

(高原開発・涌井さん)


■□相談者より

涌井様、早速、貴重なご意見ありがとうございます。
大いに、参考として、相手に主張していこうと思います。
また、経過をご報告しますので、宜しくお願い申し上げます。

賃貸開始して以来、36年間、賃借人は法は犯すわ、
目の届かない所で賃貸契約を無視して
自分勝手に振舞うわ…で手を焼いていましたが、
仲介業者から家賃だけはきちんと払う優良な店子(たなこ)とのことから、
我慢してつきあってきました。
3年前、ポンプや下水槽がある機械室に食材を保管し、
倉庫代りに使っているのに気付き、撤去を申し渡したところ、
   ●倉庫として賃借当初から使用していた
と主張し、弁護士を立てオーナーを訴える有様でした。

この2年間、こちらは弁護士を立てず、法廷で争ってきたところ、先方から、
  「機械室の品物を撤去をする代り、店内に物置を確保したいので、改装したい。
   ついては、費用が1,200万円掛かるので、7年間は家賃を凍結して欲しい」
との和解案が出ましたが、今月末、和解裁判が開かれる予定のところ、
今回の火災が発生しました。

本日、先方代理人(弁護士)より、
  「今回の和解裁判の期日を延長し、裁判官も事情が分っているので、
   新たに裁判を起こすのでなく、本件の裁判に移しかえたい」
との連絡がありました。
前回の裁判で原告は、訴えが通らないばかりか、こちらが指摘した、
賃借人が犯した種々の法令違反が改められ、どちらが訴えられたのか…と、
裁判官は首を傾げていました。

この様な事情で、弊方も明渡しが決まり、ほっとしているところです。
しかし、何分、知識、口、文章では弁護士の足元にも及ばず、
何十倍も労力を費やすこととなりますが、
結局、戦うのは当人同士の正義と思うので、
勇気を振り絞り戦っていこうと思っています。

現在、弊方より、
   ●賃借人の善管注意義務違反と物件焼失による契約解除
   ●原状回復後の早期明渡し
   ●後日、賠償請求
を通知し、これに対し、先方より、
  「早期明渡しには了解するが、物件焼失とオーナーの善管注意義務違反で、
   賃借人より契約解除し、別途、賠償請求する」
との通知を受けました。

このような状況なのですが、裁判所から裁判の案内があるまで、
このままで良いのか、宜しければ、アドバイスいただければ幸いです。


□■アドバイス:5

私見ですが、たぶん、先方が原告で貴方が被告ということになるのでしょうが、
裁判の移し変え自体は、それほど問題は無いと思います。

裁判になるまでの間に、各資料や各証明・各証人を揃える準備を行うことが
必要でしょう。
   ●消火器未設置による消防署の指導に従っていなかったこと。
   ●ガス菅に対するガス会社まの見解。
   ●賃借人としての修繕必要箇所の報告義務違反。
   ●保管義務違反の事実の列記。
  そして、
   ●過去の契約違反のまとめ
  なので、このまとめは、特に念入りに行っておくべきだと思います。

火災の時の見物人の証言が証明できれば、それも良いと思います。
損保会社の見解はどうなっているのでしょうか?
それも、貴方に有利な見解が出れば良いと思います。

(高原開発・涌井さん)


■□相談者より

ご意見ありがとうございました。
損保会社についてですが、当ビルの保険は入っていません。
賃借人の保険会社へオーナーとして火災の原因等について見解を聞きましたが、
話してくれません。逆に教えてくださいという有様です。
また、ガス会社の消防署への報告は、
口頭では「おかしい」と言っているのですが、消防署への気遣いか、
当たり障りのない報告で、火災原因に対する私見の記述はありません。
別途、ガス会社より、オーナーに対する見解書を求めています。


□■アドバイス:6

私見ですが、書類でもらえないのであれば、録音されてはいかがでしょうか?
裁判の時に証拠として取り上げて頂ける場合もあるかと思います。
何も無いよりは良いと思います。

火災保険については、建物の火災保険は使わず、
賃借人の借家人賠償保険を使うということなのだと思いますが、
そうすると基本的には保険金はそれほど調査はされずに
支払われる可能性もあると思います。
保険会社の調査員は、それほど期待できないかもしれません。

(高原開発・涌井さん)


■□相談者より

ありがとうございました。

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