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境界からの後退が50cmに満たない注文住宅の解約について

相談内容 境界からの後退が50cmに満たない注文住宅の解約について

愛知・40代男性
昨年9月に自由設計の注文住宅を購入しました。
この会社の販売方法は、「土地+基本住宅プラン」のセット販売で、
同時に各々の契約を締結しました。
契約後、設計士と住宅プランの打ち合せを行っていたところ、
   ・同時発売の隣地(すでに基礎を施工中)は、
    境界線からの壁面後退が約33cmとなっており、
    民法上の壁面後退50cmをクリアしていない
ということが判明しました
(この土地の規制区分は第1種低層住居専用地域で、壁面後退に関する規制はありません)。

隣地の設計状況については、契約時に、営業マン(宅地建物取扱主任者)からの
説明は一切ありませんでした。
その点について、営業マンは、
  「通常、当社同士の分譲区画の場合、
   隣地との壁面後退を40cm以上に設定していますが、
   今回の計画では、40cm未満に設定して販売している」
  とのことです。

しかし、隣地の壁面後退が50cm以下である点について、
事前に説明されていないことに納得できず、現在、契約解除を考えています。
契約書の契約解除に関する事項には、
  ●買主違約の場合は
   売買代金の20%相当額を違約金として売主に支払うものとする
とありますが、
やはり、違約金を支払う義務はあるのでしょうか?
ご教示頂きたく、宜しくお願い申し上げます。


□■アドバイス:1

契約内容を確認しなければいけませんが、
以下の内容に適合しているかどうかが大事です。

宅建業者が宅地を販売するにあたり、土地購入者が一定期間内に、
売主、もしくは売主が指定する建築業者との間において、
建築請負契約が成立することを条件とするときを、建築条件付き宅地といいます。
下記、1、2、3の条件を満たす場合のみ、
建築条件付宅地として取り扱うことができます。

   1.土地売買契約後3ヶ月以上の期間内に、
    建築請負契約が成立することを条件とした土地売買契約を締結すること。
   2.建築を請負うことができる者は、
    売主(売主の100%出資子会社を含む)、またはその代理人に限ること。
   3.建築条件が成立しなかった時は、預り金・申込証拠金・その他受領した
    金銭は全て速やかに返還すること。

「隣地の設計状況については、契約時に、営業マン(宅地建物取扱主任者)から
 の説明は一切ありませんでした」
については、
当該地域に規制がなければ、基本的に宅建主任者説明義務はありませんが、
  
「通常、当社同士の分譲区画の場合、隣地との壁面後退を40cm以上に
 設定していますが、今回の計画では、40cm未満に設定して販売している」
という営業マンの文言は、
契約前に伝えなければいけないことになります
(今回の分譲は通常とは違っている点)。
しかし、義務ではないので、法的な責任追及は難しいですが、
過失には問えると思われます。

一方的な解約申し出になると違約になりますが、
冒頭にあります販売方法や契約内容の確認をしなければなりません。
物件を気に入っておられるのであれば、解約以外の方法での解決も
視野に入れれば…と思います。
(響不動産リサーチ・山中祐次さん)


□■アドバイス:2

私見ですが、気になるのは、
   ●すでに隣地に境界から33cmの所に建物が建っているということは、
    愛知県が建築確認許可を出した
と考えられることです。
地域担当建築主事(民間検査機関の場合も有)が許可を出したのであれば、
特別な地区等に指定されているとか、特別な条例等がある可能性も考えられます。
そのため、愛知県の建築課等にご確認しておく必要があると思います。

一般的には、道路斜線、隣地斜線、北側斜線等も指定されている可能性もありますし、
第1種低層住居専用地域の場合は、特にチェックされると思います。
私の地元の場合は、第1種低層住居専用地域は北側は
確か境界から1.5m後退させる必要があったと思います。
ただし、これらは地域によっても違うでしょう。
しかし、民法の50cm後退は、よほどのことがない限り、守る必要があるはずです。

特別の地区でもなく、条例等も無いとすれば、基本的には、この販売業者
(おそらく建築条件付分譲地の販売)は、民法、消費者契約法、宅建業法等に
違反していることになる可能性が大きいでしょう。
その場合は契約の取消し(=無かったものとする)には応じるでしょうし、
場合によっては、あなたが支払った実費経費等についても、
損害賠償には応じる可能性もあるでしょう。

確実なことを知りたければ、
   1.境界からの壁面後退について、愛知県の建築課等でご確認された上で、
   2.住宅部等の不動産業者を管理している担当行政官にご相談される
というのが良いと思います。
なお、一定規模以上の都市の場合は、県から市に管理が移管されていることも
考えられますので、その点は市にご確認下さい。
(高原開発・涌井さん)


□■アドバイス:3

民法の第二百三十四条には、
  「建物を築造するには、境界線から五十センチメ―トル以上の距離を
   保たなければならない。前項の規定に違反して建築をしようとする者が
   あるときは、隣地の所有者は、その建築を中止させ、又は変更させることができる」
とありますから、
まず、そうする(=中止させる)権利を履行すべきではないでしょうか?

それとも、あなたのお考えは、事前にその事実を教えなかった業者に
発生するだろう損害賠償(違約金)を負担させて、
解約しても実際の損害を負わないようにしたいのでしょうか?

弁護士ではないので、正確には専門家にご確認いただきたいのですが、
歴史的な日本人の境界線とは、排除の線ではなく、
自らはみ出さない自制の線だったのです。
  
朽ちて隣家に迷惑をかけることのないよう50cm、よって、RCなどの建築物では
考慮しない場合が多いという、民法規定の中でも、貧弱な木造住宅を前提にした、
弱い慣習法的な条項です。
  
よって、法的には、
   ●隣地の所有者が止めたりできるが、それも1年以内
   ●破壊の強制権はなく、財産権のほうが優先
   ●違法な存在自体は許容され、なお慣例があれば、
    このこと自体無意味になる
とされています。

そのため、交渉する場合は、50cmの不法を前面に出さず、
   ●同じ業者が販売したのだから、隣地の建築状況は、購入物件の商品価値に
    強く影響するのに、重要事項かどうかに関らず、告知しなかった過失
を盾に、
違約金なしでの円満解約に持っていかれたら、いかがでしょう?

(一級建築士・宅地建物取引主任者資格者・中尾正文さん)


■□相談者より

親切なアドバイス、有り難うございます。
契約解除に関しては営業マンの対応次第で考えようと思っております

設計士の方から聞くところでは、
営業マンは口頭で説明しているようなニュアンスとのことでした。
しかし、そこで初めて、境界線からの壁面後退に関する会社基準の書類を、
設計士の方から頂きました。

契約者向けの書類があれば、最初から契約者に渡すべきだと感じていますので、
ご指摘のとおり、法的責任がなくても過失は認めてもらいたいと思っています。

また、土地と建物の契約はしましたが、不動産登記は完成した引渡し後になります。
「その建築を中止させ、又は変更させることができる」とのことですが、
 はたして、現段階で、将来の所有者として(?)、
民法上の権利を主張できるのでしょうか?


□■アドバイス:4

民法上での権利主張はできると思いますが、
今回のケース(契約解除や賠償だけを目的としない、隣地買主や他区画買主との関係)
では、法律論で解決するのはなく、業者との間にインスペクターを介して、
互いに誠意を持って話し合いで解決することが良いと思います。
(響不動産リサーチ・山中祐次さん)


□■アドバイス:5

私見ですが、民法上の隣地境界線からの壁面50cm後退は、
分譲業者の会社の基準で変更できるものではありません。
会社の基準は、あくまでも会社の基準です。

業者が説明したかどうかは、重説に明記されているかどうかで判断すべきで、
重説に明記してないのであれば、それは説明は無かったということで
判断するしかないと思います。
説明責任については業者が、消費者契約法、宅建業法違反となる可能性が
高いと思います。

問題は、あなたがどうしたいのか…だと思います。
契約を白紙に戻すのは、上記、消費者契約法、宅建業法違反によって、
それほど難しくはないでしょう。
しかし、隣地建物の後退を要求するのは、すでに建っている場合は、
実際にはかなり難しいでしょうから、損害賠償を請求するしかできないと思います。
しかし、民法上の請求は、当然、交渉が決裂すれば、最終的には裁判によって
判断されるということになると思います。

まず、交渉が決裂した場合は、愛知県の住宅部等の宅地建物取引業者の担当部署に
ご相談されて、それでも納得できない場合は、裁判ということになるでしょう。
契約が既に成立していますので、所有権移転登記前であっても、
権利の主張は可能だと思います。詳しいことは、損害賠償も含めて、
弁護士等の専門家にご相談された方が良いと思います。

なお、建築確認は、民法によって許可を止めることはできないということになり、
隣地境界線から30cmであってもおりるという事こと、
私の地元の長野県の建築管理課にて確認しましたが、
   ●行政官は設計者に、「トラブルが起きる可能性があるので、再考しなさい」
    という指導しかできない
とのことでした。
設計者が修正して再提出する場合がほとんどですが、
強引に出されると許可を出さない訳にはいかないそうです。
この点については、建築基準法の改定が望まれるところだと思います。

  ■参考条文(境界線付近の建築の制限)
   第234条  建物を築造するには、境界線から50センチメートル以上の距離を
        保たなければならない。
      2  前項の規定に違反して建築をしようとする者があるときは、
        隣地の所有者は、その建築を中止させ、又は変更させることができる。
        ただし、建築に着手した時から1年を経過し、又はその建物が完成
        した後は、損害賠償の請求のみをすることができる。
(高原開発・涌井さん)


□■アドバイス:6

民法のいう隣地の所有者とは、
真の所有者を特段指すというより、もっとも影響を受ける
関係者としての表記だと解するのが、成文意図ではないでしょうか?
判例などは知りませんが、現実的に最も影響を受ける当事者として、
主張または要求権利者として、充分にその権利を持っていると思います。
登記は、原則第三者への対抗のための法手続きにすぎませんから、
適法に売買契約が済んでいれば、引渡しがなくても、
充分に先の権利者と名乗ってよいと思います。

(一級建築士・宅地建物取引主任者資格者・中尾正文さん)


■□相談者より

皆様、貴重なアドバイス、有り難うございます。
本日、営業マンに面会し、事情を再度、確認しましたところ、
社内基準より短い図面で販売をしていることを、
事前に説明しなかった点について、過失を認めました。
そこで、事前に説明させていれば、購入時の判断材料となっており、
購入意思に影響を与えていたことを伝えました。

しかし、
   ●あくまで説明配慮が欠けていたが、
    通常の販売形態(建売など)の中では、良くある
との説明を繰り返すだけでした。
そのため、契約解除を含めて再度、検討して返答することにしました。

契約解除による違約について、営業マンは、
  「どのような形になるかはわかりません。
   契約書の文面に従い、会社弁護士は判断します」
  と言ってきました。

今後の対応として、どのように進めたらよいでしょうか?
土地自体は大変気に入っており、できれば、
先方の過失による購入価格の見直し(値引等)をしてもらうように
もっていきたいと思いますが、可能でしょうか?
アドバイス頂きたく、お願いします。


□■アドバイス:7

まず、
  「今後の対応として、どのように進めたらよいでしょうか?」
  に関しましては、涌井様の回答されている、
  「問題は、あなたがどうしたいのか…だと思います」
  の通りだと思います。

つまり、貴方がしっかりと決めるべき内容であり、
  「土地自体は大変気に入っており、できれば、先方の過失による購入価格の
   見直し(値引等)をしてもらうようにもっていきたい」
というのであれば、まず、その旨をきちんと相手方に伝えなければ、
可能かどうかなど、わからないでしょう。

厳しい言い方になりますが、貴方が上手く交渉されているとは思えません。
中尾様が、
  「交渉する場合は、50cmの不法を前面に出さず」
山中様が、
  「法律論で解決するのはなく、
   業者との間にインスペクターを介して、
   互いに誠意を持って話し合いで解決することが良いと思います」
とおっしゃってらっしゃるのは、
おそらく、
   ●貴方が法律論を前面に出して、相手方を責めている状況
を感じられたから…のように思います。

法律論を前面に出せば、相手は「うちは法的に正しい」というような、
強硬な姿勢を取るでしょう。
(実際に、「会社弁護士は判断します」というような態度に
 なってしまっているのも、このせいです)

極めて単純に考えますと、貴方の要求は値引きだと思います。
それであれば、
   ●土地自体は大変気に入っている
   ●説明不足があったのは事実
   ●解約は双方にとって最悪の結果なので、
    説明不足に相当する分の価格の見直し(値引き等)はできないのか?
という形で、
前向きに話し合っていくのも、一つの方法だと思います。

   ★追記★
    今回のような交渉については、
     http://sumai.2525.net/2007/01/2007112_471f.html
    も、参考になるかも知れません。

(わんえるで~おー・前野)


■□相談者より

貴重なアドバイス、有り難うございます。
説明不足に相当する分の価格の見直し(値引き等)について、相談してみます。

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