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借地権の買取請求について

相談内容 借地権の買取請求について

東京・70代男性
はじめまして。よろしくお願い致します。
借地人である私の場合、転居して空屋になり、地主と縁を切りたく思います。
「借地権譲渡」、あるいは「底地売買」などで、地主に話をもちかけている
のですが、地主は知らぬ顔で一向に話にも乗らず、もう9ヶ月になります。
このままでは無駄に地代を払い続けねばなりません。
借地上の家屋は、建築後32年の軽量鉄骨プレハブ2階建で、
20年目に更新し、あと8年借地権残存あります。
また、家屋の状態は外部、内部ともリフォームを続け、
定期的に点検確認しています。

「買取り請求権」は、法的には存在しないのでしょうか?
「借地・借家法」や「借地非訟事件」など、勉強したのですが、
肝心なところが分からなかったのです。
こちらの、
   http://fudosan.2525.net/2006/02/post_2618.html
  の通り、本当に「0円で明け渡す」ことになるのでしょうか?

また、申立書の様式には、譲渡予定者を書く欄があるのですが、
譲渡承諾を借地非訟事件として裁判に持ち込むとき、
譲渡先が決っていないと裁判所は受付ないのでしょうか?

障害のため遠出ができず、色々な相談所へ行くのが困難な状況です。
是非、アドバイスをよろしくお願い致します。


□■アドバイス:1

私見ですが、賃貸人に対して、借地権譲渡・底地売買を持ちかける
ということ自体が、よく理解できません。
実際にその様な取引が行われている地域があるかどうかは不明ではありますが、
私が知っている範囲ですと、
   ●借地権譲渡は建物を第3者に売却する時に、同時に建物購入者に譲渡するも
    ので、地主に対しては、その承諾を求めることになるだけだ
と思います。
底地売買は、地主が賃借権付の土地を第3者に売る場合であり、
賃借人が売却することは底地売買とは、あまり言わないと思います。

ご相談内容で、ちょっと疑問に感じるのは、今回は平成4年7月31日以前の契約の
旧借地法の対象となると思われるのですが、旧借地法の契約期間の規定によると、
軽量鉄骨ということは「堅固ノ建物」ということになると思われます。
20年で更新したということですが、その場合は期間が30年以上でなければ
いけないと思います。

ちょっと、この辺りに問題がある様な気も致します。
元の契約期間が無効となりますと、契約期間は60年になるかもしれませんね。
それと、「20年目の更新料は取り戻せるかどうか」は、更新して12年も経過
しているということになると、更新後の契約に異議を主張するにしても、
時間が経過しすぎているとも思いますし、時効と関連があるかもしれませんので、
この辺りは弁護士等の専門家にご相談された方が良いと思います。

  建物の買取請求権はあります。
   1.借地権が消滅し契約が更新されなかった時に成立する(旧借地法4条2項)
   2.賃借権の譲渡を地主が承認しない場合に、その借地上の建物などを
    取得して借地権を譲り受けようとする者は、その地主に対して
    建物等の買取を請求できる第三者の建物買取請求権というもの
    (旧借地法10条)
  という2種類があります。

  1の場合は、8年経過して満期になった場合は、
   ・形成権であるため、その行使があれば、
    賃借人と地主との間で建物の売買契約が成立する。
   ・代金額は取り壊しを前提としたものではなく、建物としての時価である。
   ・借地権の価格は含まれないが、場所的利益は考慮される。
   ・建物買取請求権者は、地主から代金の提供があるまでは、
    建物の明渡しを拒否できる。
  ということになります。

なお、「申立書の様式には、譲渡予定者を書く欄がある」というのは、
前述の2の場合ということになるかと思います。
つまり、契約期間の満了時か、借地権の譲渡を地主が認めなかった場合に、
建物の買取請求権が発生するということになるかと思います。

私であれば、
   ●その建物を借地権付で売却する
   ●とりあえず、定期賃貸借契約で8年間は貸すこと
のいずれかを検討すると思います。
8年経過後に、更新拒絶された場合は、建物を時価で買い取っていただき、
更新された場合は、再度、建物を賃貸するか、借地権付で建物を売却する
ということになるでしょう。
軽量鉄骨プレハブが、実際に60年持つかどうかは解りませんが、
リフォームを行えば、使用できるのではないでしょうか。

(高原開発・涌井さん)


■□相談者より

早速のご回答ありがとうこざいました。

私の本心は、病気の老人のため、地主と縁を切りたいのです。
まだ借地期間が切れていないので、その借地権を譲渡するか、
底地分を購入し売却するか…など、考えてみるのですが、
地主も黙ったまま空屋になったままで、仕方なく地代を払い続けているわけです。
このまま契約期間がきれると、建物も価値がなくり、
建物買取請求権があっても1円も手元に入らないのでしょう。
どのように整理したらよいのか分からず投稿したのです。

空屋にしないで、今のまま借地上の建物を賃貸するのは、
地主との縁が切れません。これも承諾を得ないとならないでしょう。

なお、もともと木造古家を軽量鉄骨プレハブに建替えた時も、
木造と同等とみなし、建替え承諾を得ました。
建築確認申請(?)でも、「堅固ノ建物」とはみなされかったと思いました。
それに「堅固ノ建物」となれば地主も承諾しなかったと思います
(承諾したとしても多額な承諾料になったでしょう)。

借地権譲渡承諾(名義変更)を地主が認めないときは、どうすればよいのでしょうか?
地主が名義変更に応じないのでは建物購入者を決められないので、
借地非訟事件申立ができないのではないでしょうか?
このような場合、法的に措置する方法はないのでしょうか?

古屋はともかく、借地権料分(路線価はD区分の4割分)を、
地主に買い取って貰うことはできないのでしょうか?
(近所にその例はあります。
 現在の土地価格により借地権分を返してくれたそうです)

また、これらのやり方について、宅建業者は介入していただけるのでしょうか?
改めてご助言、よろしくお願いいたします。


□■アドバイス:2

「旧借地法の9条の2」には下記の様に規定されております。

  第9条ノ2 借地権者ガ賃借権ノ目的タル土地ノ上ニ存スル建物ヲ第三者ニ譲渡
        セントスル場合ニ於テ其ノ第三者ガ賃借権ヲ取得シ又ハ転借スルモ
        賃貸人ニ不利トナル虞ナキニ拘ラズ賃貸人ガ其ノ賃借権ノ譲渡又ハ
        転貸ヲ承諾セサルトキハ裁判所ハ借地権者ノ申立ニ因リ賃貸人ノ承
        諾ニ代ハル許可ヲ与フルコトヲ得
        此ノ場合ニ於テ当事者間ノ利益ノ衝平ヲ図ル為必要アルトキハ賃借
        権ノ譲渡若ハ転貸ヲ条件トスル借地条件ノ変更ヲ命ジ又ハ其ノ許可
        ヲ財産上ノ給付ニ係ラシムルコトヲ得
      2 裁判所ハ前項ノ裁判ヲ為スニハ賃借権ノ残存期間、借地ニ関スル従
        前ノ経過、賃借権ノ譲渡又ハ転貸ヲ必要トスル事情其ノ他一切ノ事
        情ヲ考慮スルコトヲ要ス
      3 第1項ノ申立アリタル場合ニ於テ裁判所ガ定ムル期間内ニ賃貸人ガ
        自ラ建物ノ譲渡及賃借権ノ譲渡又ハ転貸ヲ受クベキ旨ノ申立ヲ為シ
        タルトキハ裁判所ハ同項ノ規定ニ拘ラズ相当ノ対価及転貸ノ条件ヲ
        定メテ之ヲ命ズルコトヲ得
        此ノ裁判ニ於テハ当事者双方ニ対シ其ノ義務ヲ同時ニ履行スベキコ
        トヲ命ズルコトヲ得
      4 前項ノ申立ハ第1項ノ申立ノ取下アリタルトキ又ハ不適法トシテ同
        項ノ申立ノ却下アリタルトキハ其ノ効力ヲ失フ
      5 第3項ノ裁判アリタル後ハ第1項又ハ第3項ノ申立ハ当事者ノ合意
        アルニ非ザレバ之ヲ取下グルコトヲ得ズ
      6 裁判所ハ特ニ必要ナシト認ムル場合ヲ除クノ外第1項又ハ第3項ノ
        裁判ヲ為ス前鑑定委員会ノ意見ヲ聴クコトヲ要ス

判り易く簡単に言いますと、
   ●借地上の建物の譲渡を地主が認めない場合は、
    裁判所が諸事情を検討して、
    地主の承諾の代りに許可を出すことができる
  ということになります。

私見ですが、借地権料分を地主が買い取るケースというのは、おそらく、
   ●地主の事情により立ち退いてもらいたい場合に、地主からの提案があった
   ●借地権料分を支払ってでも、その土地を返して頂くことに、
    地主側が何らかのメリットがあった
などのように思います。
ですから、借地人から買取の提案したとしても、地主にメリットが無ければ、
地主は提案を断って、それで話は終り…ということになるかと思います。

借地人の事情により、建物を買い取ってもらったり、賃借権を買い取らせることは、
交渉ですから、全く駄目とは思いませんが、今回のケースでは私が知っている限り、
難しいと思います。宅建業者が仲介役をやることもあるのでしょうが、
今回のご相談の場合であれば、借地権付建物の買主を探すとか、
賃借人を探すということを薦めると思います。

(高原開発・涌井さん)


■□相談者より

涌井様、度々のご助言ありがとうございます。
結論は、借地権付建物の買主を探すか、
賃借人を探すということになると理解できました。

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