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私道に関する覚書の作成について

相談内容 私道に関する覚書の作成について

山形・30代女性
新築を考え、土地を購入しました(決済は8月下旬です)。
購入した土地は、宅地分のほか宅地南側に唯一接している私道があります。
隣家もこの私道にしか接しておらず、当方と隣家との共有名義で、
所有権も1/2ずつ登記します。
当家と隣家、および両家に接する私道の所有者は破産管財人(弁護士)さんで、
不動産屋さんが仲介という形で間に入っており、私道の土地購入費用についても、
隣家と1/2ずつ負担です。

購入時に、仲介の不動産屋さんの話では、
   ●共有名義の私道部分については、分筆することにより
    隣家とのトラブルになりやすいため、境界線はもうけない
  と、説明を受けました。
  また、
   ●私道利用にあたって、補修時の費用折半などを、簡単な覚書として、
    隣家と交すことを仲介する
  という口約束もありました(この言葉で契約する決心がつきました)。

ところが、現在、積極的にこの覚書を作成してくださる気配がなく、
また、別に契約した建設会社さんに相談したところ、
「うちは仲介に入っていないので…」と、覚書については対応していただけない状況です。
(なお、土地は建築条件付ではなかったため、建築業者さんは、不動産屋さんが
 紹介くださるところではなく、自分で建築業者さんを決めました)

このような状況なのですが、隣家と話し合って覚書を作成するにあたって、
どのような点に注意すれば良いのでしょうか?
是非、アドバイスいただけると助かります。


□■アドバイス:1

私見ですが、道路に関しましては接道状況、幅員、建築基準法上の扱い
などの要因により大きく不動産価値を左右する問題です。
そのことから、
   ●現場の確認や役所ヒヤリングをしないと的確なアドバイスができないこと
を前提とさせていただきます。
その上で気になる点を2つ挙げさせていただきます。

   1.抵当権抹消条件等の契約内容
     所有者が破産管財人ということは、事件扱いになっていると思われるので、
     抹消できなければ白紙解約などの契約状況が入っているか?

   2.私道の売買契約と建築用地の売買契約の関係
     私道が取得できなければ白紙解約などの契約条項が入っているか?

ただ、道路に関することは重要なことですので、今回のような状況であるのなら、
費用はかかったとしても、あなた単独で判断するのではなく、
信頼のおける不動産コンサルタント、弁護士などに、
【決済まで】にご相談し、契約内容をチェックしていただくことをお勧めします。
(響不動産リサーチ・山中祐次さん)


□■アドバイス:2

まず、「共有名義の私道部分については、分筆することにより
隣家とのトラブルになりやすいため、境界線はもうけない」
と言うのと全く逆で、共有にする方法は、今は当地では全くといってよいほど
行われておらず、かなり古い手法かと思います。

2軒で使用するということですから、その私道の幅が4m以上あるかどうかを
ご確認ください。4m以上の幅があることを前提に、4mとして説明いたしますと、
共有にするよりも本来は分筆して2mづつの宅延にする方が望ましいでしょう。
そして、お互いに遠慮なく利用できるようにするために「地益権」を設定すれば、
覚書は不必要となります。お互いの土地に地益権設定を行えばよいだけですし、
この方が権利関係もはっきりします。修復も、自分の所有地のみの負担となります。
ただし、上下水道管はそれぞれが引き込むことにはなります。

そもそも覚書につきましては、公正証書でも作成すれば別でしょうが、
あまり意味はなさない可能性が高くなります。つまり、その内容を決めたとしても、
必ず約束を守るかどうかは疑問です。
特に共有の場合は、どちらか一方が費用負担を拒んだ場合は、
修復工事を行うことも難しくなる可能性があるでしょうし、
隣地所有者が変った場合は、その覚書が引き継がれるかどうかも疑問です。

それに、上下水道管などの引き込みについても、疑問が残ります。
道路位置指定を取るということは、誰でも通行できるようにして、
本管を引き込むということなんでしょうか?
2軒しか使用しない、いわゆる宅延が位置指定道路となるのかどうか…と言えば、
当地ではあまり聞いたことはありませんから、この辺りもちょっとはっきりしません。

何らかの事情で、どうしても共有にする場合は、覚書を作成することになり、
隣地所有者と問題が生じた時には、相談しつつ、費用等を折半していくしかないと思います。
その場合、覚書には、
   ●将来想像される費用については、その都度、双方で相談して折半すること
   ●私道部分は通行のため、上下水道管等設備の埋設のために使用するもので、
    駐車などをして、お互いの通行の妨げになる行為は慎むこと
   ●共有部分には建物・塀等の構造物は作らない、
    また、生垣・花壇等の植栽を行わないこと
   ●金融機関の融資の時には抵当権設定に協力すること
という程度でしょうか。
隣地所有者との権利関係になりますから、
お互いに譲り合い、揉めないようにするしかないでしょう。
くれぐれも、「覚書があるから守れ」などと強く言うなどした結果、
裁判沙汰になるようなことは避けるべきでしょう。

しかし、今時、共有と言うのは、金融機関の抵当権設定など、
様々な問題が発生する可能性があるので、やはりどうも理解に苦しみます。
  
売主が弁護士ということで、相談者さんはある程度信用されているのかも
知れませんが、私の経験上、実は、弁護士が不動産業者に持ち込む物件には、
危ないものが多いのも真実です。
経験の浅い不動産業者や建設業者だと、弁護士に依頼されたということで、
よく調査しないことも考えられますが、例えば、道路などの問題を指摘すると
「良く問題があることが解りましたね」と、ニヤっと笑いながら
引き下がることもありました。

弁護士の扱う物件の中には、宅建業者に調査義務があることを承知しており、
万が一問題が生じた場合は、責任を仲介業者に負わせようしていると
思われるようなケースが多々見受けられます。
  
本相談の場合は、公道に接道している宅延部分が2m以上(2軒分で4m以上)
あるかどうか、その接道している公道に上下水道の本管があるかどうか、
重説等をよく確認しなければなりません。
また、ローン借入時の抵当権設定がすんなりといくかどうか…
についても、地域差や金融機関の差もあるのでしょうが、
その点も併せて確認しなければならないでしょう。
(高原開発・涌井さん)


■□相談者より

山中先生、涌井先生、お忙しいところ、アドバイスありがとうございました。
心強く読ませていただきました。初めて耳にする言葉ばかりで、
判らないながらも自分のおかれている立場が見え始めた気がします。

  「私道」部分は、重要事項説明書の中で
   ●地目は「宅地」
   ●宅地分と私道とで地番がそれぞれについていて、合計で2筆と記載
   ●宅延部分については、2軒分で4m以上
  とされています。

ただ、敷地の接道義務に関する項目の「接道状況」については、
共有名義の私道ではなく、私道を通ってから出る
「西側公道(市道)幅員4m(法42条第1項第1号道路)」が、接道と記載されています。
(もし、私道の地目が宅地であっても、法第42条第1項第5号位置指定道路であれば、
 接道と記載されているものか…と、疑問を感じています)

ちなみに、配管関係については、
   ●公道より私道を利用して私設管をひくことになる
とのことで、既に建築が終り、
生活を始めている隣家も、公道より私道を通して私設管を引いています。

ローン借入時の抵当権設定は、登記簿で確認したところ、宅延部分について、
既に隣家持分である1/2分に対して、他銀行の抵当権が設定されていました。
このことは、当方のローン申込時に銀行担当者に伝えてあり、
銀行でどのような判断を下すのか、結果待ちの状態です。

山中先生よりご指摘いただいた「抵当権抹消条件等の契約内容」の
白紙解約についての記載、また、「私道売買契約と建築用地の売買契約の関係」の
白紙解約についての記載は、両方とも、ありませんでした。
頂いたアドバイスにもあるように、とても自分だけの判断ですすめる話ではないな…
と思ったところですので、プロの方に正式に依頼する方向で考えます。

今回、各先生よりアドバイスいただき、また、このような場を作ってくださっている
皆様の活動には、改めて感謝申し上げます。


□■アドバイス:3

「私道」と言われている部分が、建築基準法の接道義務
(建築基準法で認めた道路に2m以上接していること)を満たしているかどうかを、
市町村役場などで確認してください。
隣家が建築済みなどのお話から察すると、位置指定道路、
または宅延・専用通路だと思いますが、きちんと確認することをお勧めします。
また、位置指定にしたのであれば、登記簿の地目も、
公衆用道路に変更されているべきでしょう。
位置指定でなくて宅延・専用通路でも建築は可能ですので、
その場合、2m以上幅員で分筆するか、分筆しないでおくかは
共有者の考え方により、それぞれに一長一短があります。

位置指定の場合は、建築や通常の通行には何の問題もありません。
管理については共有者での持分での負担になります。共有のほうが好ましいでしょう。
覚書がなくとも、民法や判例で判断されるので、隣家との関係が良好であれば、
それほど心配はいらないでしょう。

宅延・専用通路の場合は、隣家との関係次第で何かと紛争の原因になる場合が
ありますので、ご注意ください。
いずれにしても、専門家に相談することが必要でしょう。
(北杜宅建センター・萩原さん)


■□相談者より

萩原先生、アドバイスありがとうございました。
リスクを承知でいるのといないのとでは、対応に差がでることを思うと、
今回アドバイス頂いたことは、とてもいい勉強になりました。

ご推察のとおり、建築会社に確認したところ、
   ●位置指定は取られていない
   ●宅延・専用通路扱いになっている
    (「宅延」で「共有名義:所有権保存」になるようです)
とのことでした。

本日、建築確認等を指導している行政機関に相談したところ、
位置指定を取るための条件など教えていただけましたが、条件から、
位置指定を受けることは難しいのかな…と思ったところです。

共有名義部分については、
境界線を設けてお互いに地役権の設定を行う方法がいいか、
境界線を設けない方法がいいか、まだ、悩んでいるところです。
地益権設定となれば、お隣さんとの話合いも必要ですし、
何よりも登記費用などもありますので…。

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